SUMMARY
子ども虐待対応の第一歩は虐待に気づくことである。まずは子ども虐待を疾患としてとらえ,身体所見および周辺状況から虐待の可能性を判断する。偶発的に遭遇するため,日頃から丁寧な診察を心がける。
KEYWORD
sentinel injury
警告的損傷と呼ばれる乳児期の比較的軽症な表在性損傷のこと。重度な子ども虐待へとつながる可能性が示されており,プライマリ・ケアでのsentinel injury発見時の対応が大変重要である。
PROFILE
北海道家庭医療学センターで家庭医療を学び,その後福岡大学筑紫病院小児科,福岡大学病院総合周産期母子医療センター勤務。家庭医療専門医・指導医。Harvard Medical School FCR修了。
POLICY・座右の銘
優しくいる,誠実でいる,優秀でいる
前回(No.5172)に引き続き,虐待診療の進め方を紹介する(2回目/全3回)。
「子ども虐待」は子どもに携わる医療者にとって「鑑別疾患」ととらえると理解しやすい。その有病率は高く,見逃した場合の重症化,致死率も高い。次世代に垂直感染(伝播)することも知られており,自然寛解しにくいことが特徴である1)。プライマリ・ケアの現場でこのような疾患を見逃さないことがいかに重要かは想像にたやすい。