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事故は駐車係員の責任ではないの?[病院トラブル─事務方の解決法(12)]

No.5135 (2022年09月24日発行) P.64

大江和郎 (元東京女子医科大学附属成人医学センター事務長)

登録日: 2022-09-21

最終更新日: 2022-09-20

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受診の際に,自動車で来院する患者もいます。駐車可能台数も数台から数百台と様々で,1台当たりの駐車するスペースも,隙間がないくらい狭いところからゆったりしたところまで様々です。狭いスペースの駐車場となると,接触事故が起こることもあります。

 駐車係員  :はい! 奥から2番目空いていますので,そこに駐車して下さい。

 患 者  :やばっ! 隣の車のボディを擦ってしまった。

 駐車係員  :では,車の持ち主に連絡しますので,双方での話し合いをお願いします。

 患 者  :あなたが指示した場所に駐車しようとしたんだから,あなたにも責任はあるんじゃないの?

 駐車係員  :私は,空いている駐車スペースを案内しただけで,誘導はしておりません。

 患 者  :それはおかしいんじゃないの? この駐車場は病院の敷地内にあって,あなたの指示で駐車したんですよ!? 関係ないなんて言わせないよ!

正しい対応はどちら?

①当院の敷地内での事故ですので,当院にて対応をさせていただきます。

②駐車係員は駐車区分を案内しただけで,実際にあなたの車を誘導しておりません。 お気持ちはわかりますが,当院に責任はありません。

事務長の見解

医療機関の過失有無が問われるポイントは,駐車位置に駐車するまでの間に,駐車係員が誘導していたかどうかです。個々の駐車完了まで駐車係員が見届けるような体制をとっている場合は,医療機関側の責任となりますが,駐車場の入り口付近で空いているスペースの方向だけを案内する程度の誘導では,医療機関側の責任はないと言えます。破損箇所の損害賠償については所有者双方の話し合いになりますので,②のように医療機関に非がないことを説明します。運転者は納得しないかもしれませんが,誘導をしていないということを説明し,責任がないことを押し通すしかありません。

詳しく解説すると……







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