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チック[私の治療]

No.5100 (2022年01月22日発行) P.48

金生由紀子 (東京大学大学院医学系研究科こころの発達医学分野准教授)

登録日: 2022-01-25

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  • チックは,突発的,急速,反復性,非律動性の運動あるいは発声である。運動チックも音声チックも,典型的な単純チックと,それよりはややゆっくりで意味があるようにみえる複雑チックにわけられる。病態としては皮質-線条体-視床-皮質回路の異常が想定されるが,症状の表れ方には心理社会的要因も影響する。小児の5~10人に1人が経験する。

    ▶診断のポイント

    診断にあたっては,運動あるいは発声の性状に加えて,部分的または一時的に抑制できる可能性のあること,前駆衝動と呼ばれる感覚がしばしば先立つこと,種類,部位,頻度,強さなどが変動しやすく心理的および身体的状態との関連がうかがわれる場合があること,が参考になる。

    チックを主症状とする症候群がチック症である。持続が1年未満であれば暫定的チック症,持続が1年以上で多彩な運動チックおよび1つ以上の音声チックを有すればトゥレット症となる。

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方

    包括的な評価を行って治療の参考にする。様々な精神疾患を併発することがあり,それについても評価する。本人や周囲の人々のチックに対する認識および全般的な対処能力も評価し,本人の長所も把握しておく。

    治療の基本は,家族ガイダンス,心理教育および環境調整であり,本人や周囲の人々の理解を促して,チックがありながらも本人が発達して適応していくことをめざす1)。その際には,4~6歳で最も発症しやすい,10~12歳で重症度のピークになりやすいなどの標準的な経過に加えて,本人の精神発達やチックへの向き合い方,本人の生活の広がりを総合して,本人がチックと上手に付き合えるようにするにはどうしたらよいかに配慮する。

    最近では認知行動療法の位置づけが高まっていることに対応して2),本人がチックと向き合えるようになっていたら,チックのコントロールをめざすハビットリバーサルを中心に,チックを維持する方向に作用している要因を分析して調整する機能分析などを組み合わせて行うことを検討する。このような「チックのための包括的行動的介入(CBIT)」の原法通りの実施ができなくても,その基本を伝えることは有用と考える。本人の年齢が低かったりチックに向き合えていなかったりする場合には,親がチックのある本人全体を受容して,本人が安心してチックに向き合えるようにすることから取り組む。
    薬物療法を行うことがあるが,いずれも保険適用外である。

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