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【識者の眼】「実りある退院カンファレンスを目指そう」中村悦子

No.5092 (2021年11月27日発行) P.60

中村悦子 (社会福祉法人弘和会「訪問看護ステーションみなぎ」管理者)

登録日: 2021-11-17

最終更新日: 2021-11-17

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前回の投稿で「退院カンファレンス」に関して書かせていただいたところ、予想以上に反響があり驚いています(No.5086「退院カンファレンスで訪問看護師に伝えたいことは何ですか?」)。

さらに驚いたことに「退院カンファレンス」に関して関心を示しているのは訪問看護師だけではなく、調剤薬局の薬剤師さんも同じ気持ちでいるということでした。

「退院カンファレンス」の必要性は誰もが理解していると思います。しかしながら、病院側は地域に帰る患者さんが、退院後にどのようなサービスを利用するのかを理解できていないのが現状ではないでしょうか。だから実際に退院が見えてきても招集するメンバーが把握できないのでしょう。介護保険を利用する場合はケアマネージャーが、精神疾患なら相談支援員が登場しますが、介護保険を利用しない若いがん患者さんや難病患者さん等が退院する場合は病院のMSWも大変だと思います。帰り先の地域の社会資源を理解していないと退院患者さんが不幸になるからです。

一方で、病院側の退院カンファレンスの参加者にも問題があると思います。

たとえば、開かれるカンファレンスのほとんどに医師はいません。医師が参加しても途中退席や経過を話して質疑を受けて去っていく場面をよく見ます。最近は多忙を理由に看護師が参加しないカンファレンスに招かれ驚愕しました。

しかしながら、カンファレンスの必要性は誰もが理解しながら、参加メンバーを含めたカンファレンスの中身が充実しないのは、我々地域の専門職にも問題があるような気がします。

入院した時に「この地域では我々が住民を支えているんだ!」というPRをしているでしょうか? 療養環境をしっかり伝えて、生活の場をイメージできるように努力をしているでしょうか? 「我々のもとに帰して下さい」と伝えているでしょうか?

入院前の状態に近づける病院の努力、そして障害が残っていても受け入れる地域の努力。双方の努力が実って、患者さんやご家族から「帰って来れてよかったね」の言葉を聞けるように、もっと尽力すべきだと思います。

中村悦子(社会福祉法人弘和会「訪問看護ステーションみなぎ」管理者)[訪問看護][退院支援]

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