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専門家もどきの落とし穴[プラタナス]

No.4818 (2016年08月27日発行) P.1

窪田 満 (国立成育医療研究センター総合診療部長)

登録日: 2016-09-16

最終更新日: 2017-01-19

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  • 3歳、男児、骨盤腔内膿瘍。この患児は、2000年に生まれたミレニアムベビーである。新生児期の高アンモニア発作によって心停止となり、北海道内の総合病院にて救命されたが、蘇生後の低酸素性脳症となってしまっていた。その後、北海道大学病院に転院し、生検肝のオルニチン・トランスカルバミラーゼ(OTC)酵素活性が正常の0.46%であることが判明して、OTC欠損症の確定診断となった。その後の治療によって、アンモニアのコントロールは非常に良好であった。

    ところがこの患児は、乳児期より3歳までの間に肛門周囲膿瘍や両鼠径部の化膿性リンパ節炎を繰り返していた。3歳時に39℃の発熱、右鼠径リンパ節腫脹で、前述の総合病院に入院した。抗菌薬の反応が悪く、左鼠径リンパ節も腫大してきた。結局、両側の鼠径リンパ節の切開排膿を行ったところ、セラチア菌が検出された。その後も発熱が続き、腹部CTにて骨盤腔内膿瘍が認められたため、再び大学病院に転院となった(写真)。

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