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Doctor as a medicine[プラタナス]

No.5078 (2021年08月21日発行) P.3

田中耕一郎 (東邦大学医学部東洋医学研究室准教授)

登録日: 2021-08-21

最終更新日: 2021-08-18

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  • ひどく痩せた20歳代の女性の診療を他の医師より頼まれた。来院したものの自分の症状を話さないらしい。静かに診察室に入ってきた女性は、極度に痩せていて、表情は硬くうつむきがちである。沈黙の時間は非常に長く感じられた。ぽつぽつと「お腹が痛い」「時々変なものが見える」「だるい」といった症状は、いずれも脈絡がなく、さらに尋ねようとすると口を堅く閉ざしてしまい、それ以上聞くことはできなかった。他に「家に居づらい」「母と合わない」といった家庭事情や、「人と会うのが怖い」といった性格上の問題もあった。

    母親からの話では、複数の心療内科や精神科を受診して、「適応障害」や「うつ病」の診断がついたが、本人が処方された薬に敏感に反応しすぎて、「薬が合わない」と感じ、通院を中断してしまうようだ。

    また、少なくとも神経性食思不振症は否定的であったようである。ひと先ず信頼関係を築きつつ、タイミングを見て精神科へ紹介をすることとした。以後は症状の改善とまではいかないが、月1回の通院は欠かすことがなく、少ないながら会話にもなり、以前よりは緊張がとれてきた様子もうかがえた。願いを込めて精神科コンサルトする際、本人の要望で「男性が苦手」というコメントはつけたつもりだが、実際に担当となったのは、男性医師であった。

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