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【識者の眼】「地域包括ケアと多職種連携システム」土屋淳郎

No.5073 (2021年07月17日発行) P.59

土屋淳郎 (医療法人社団創成会土屋医院院長、全国医療介護連携ネットワーク研究会会長)

登録日: 2021-07-02

最終更新日: 2021-07-02

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日本の超高齢社会に対して地域包括ケアシステムの構築が進められている。患者・家族を中心とした「医療介護連携」として行われている事が多いが、本来は行政や地域のボランティア・NPOなどが参加する地域のネットワークやコミュニティ、つまり「生活連携」も合わせた「多職種連携」として構築すると良い。さらに最近では患者・家族も多職種の一員として参加するという考え方もあり、これら多種多様の職種で適切な情報共有を行うには、従来の電話・FAX・連絡ノート・カンファレンスといった連携・連絡ツールでは不十分と考えられることから、最近では多職種連携システムを用いることが多くなってきた。

多職種連携システムには簡単に使えるものや多機能のもの、汎用性が高いものや専用のものなど様々あるが、その選択には「多職種連携ネットワークシステムの要件10カ条」(https://ikairen.net/wp/wp-content/themes/mcf/img/pdf/ten_articles.pdf 全国医療介護連携ネットワーク研究会)を参考にしていただけると幸いである。なお、電子メールやLINEなどのパブリックSNSを個人情報共有に利用してはならないとされているので注意が必要だ。

多職種連携を横の連携としたときに、縦の連携と言われているのが地域医療連携であり、これは病病連携や病診連携などの医療機関同士の連携である。この地域医療連携と多職種連携をつなげることは地域包括ケアシステムの構築においても重要であり、その大きな役割を担っているのがかかりつけ医だ。したがって、つなぎ役のかかりつけ医としては病診連携だけでなく在宅医療も行い、地域活動にも参加して、地域における多職種連携の輪を広げることも大切なのではないだろうか。

現在、多職種連携システムは在宅医療における多職種連携に用いられる以外にも、地域のコミュニティ、医師会での連絡手段としても利用されている。また、個人情報保護に関する規則や条例等をクリアして、公立病院や大学病院の医師、行政の職員が参加するケースもみられている。地域の様々な職種が集う場としても多職種連携システムが用いられることも多くなり、単に患者を診るだけではなく地域を診るシステムとしての利用価値も評価されてきている。かかりつけ医としてもこの多職種連携システムを用いて地域の連携の輪を広げ、地域を診ることにも思いを巡らせたいものである。

土屋淳郎(医療法人社団創成会土屋医院院長、全国医療介護連携ネットワーク研究会会長)[地域を診る]

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