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【一週一話】糖尿病腎症に対するインクレチン関連薬の可能性

No.4761 (2015年07月25日発行) P.51

小寺 亮 (岡山大学病院新医療研究開発センター)

四方賢一 (岡山大学病院新医療研究開発センター 教授)

登録日: 2016-09-08

最終更新日: 2017-02-15

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  • 糖尿病腎症は,慢性透析療法導入の最大の原因疾患であり,糖尿病患者の生命予後と生活の質に重大な影響を与えている。腎症の治療には,血糖・血圧・脂質の管理とレニン・アンジオテンシン(RA)系阻害薬の投与に加えて,食事療法を中心とした生活習慣への介入が行われる。

    近年,インクレチン関連薬であるDPP-4阻害薬とGLP-1受容体作動薬が,糖尿病モデル動物において腎保護作用を示すことが相次いで報告されている。ここでは,糖尿病腎症に対するインクレチン関連薬の効果について,最近の知見を紹介したい。

    これまでの多くの臨床研究の結果より,良好な血糖管理により腎症の発症と進展が予防されることが明らかにされている。インクレチン関連薬には,まず血糖コントロール改善による腎保護効果が期待できる。さらに,インクレチン関連薬は,腎機能が低下した症例でも,単独投与であれば,SU薬と比べて低血糖のリスクは低いと考えられる。また,腎機能低下時には多くの経口糖尿病薬が慎重投与または禁忌となるが,DPP-4阻害薬と一部のGLP-1受容体作動薬は,腎機能低下症例でも使用が可能である。したがって,DPP-4阻害薬は腎症患者に適した経口糖尿病薬であると言える。

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