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「明日から実践できる」こどものみかた〈嘔吐〉─嘔吐の鑑別は広く,でもcommon is common[プライマリ・ケアの理論と実践(105)]

No.5068 (2021年06月12日発行) P.12

一ノ瀬英史 ((いちのせファミリークリニック院長))

登録日: 2021-06-10

最終更新日: 2021-06-08

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SUMMARY
子どもはそもそもよく吐く。子どもの診療でも大人の診療でも,嘔吐という愁訴は鑑別を広くもつ必要がある。とはいえ,common is commonであり,胃腸炎か便秘かが大半である。大人で考えていた鑑別を子ども用の鑑別に変換して嘔吐に対抗していく。

KEYWORD
周期性嘔吐症候群
数日間の嘔吐症状を周期的に繰り返す。特異的な検査や診断法があるわけではなく,十分な除外診断が必要だ。周期性があるが,前回はそうでも今回の嘔吐は器質的疾患かもしれないので,毎回の臨床が大事である。

一ノ瀬英史(いちのせファミリークリニック院長)

PROFILE
亀田総合病院で内科小児科複合プログラムの1期生として研修後,頴田病院で家庭医研修プログラムの指導医。プライマリ・ケア認定医,小児科専門医,総合内科専門医,在宅専門医,経営学修士MBA(グロービス)。

POLICY・座右の銘
我に七難八苦を与えよ

外来に嘔吐のみで来院した成人の診療は,多臓器に鑑別を広げるであろう。小児でも同様に多臓器に鑑別を広げる必要がある。成人と違うところは,年齢により想定する疾患に少し重みづけの差異が生じるところである。頻度を考え,足元をすくわれないように頭の片隅にred flagを置いて診療をすることは言うまでもない。

1 ケース

5歳女児。主訴:嘔吐。
現病歴:午後3時頃に幼稚園から母に連絡があり迎えに行った。聞くと,昼食は食べたがいつもより少し少ない。その後1時間くらいして2回嘔吐があり,元気がない。待合室でも吐いており,今日3回目の嘔吐。排便は今朝はしていないが昨日は普通便。
既往歴:特になし。アレルギーなし。
身体所見:独歩で入室。受け答えははっきりしているが気持ち悪そうな顔。体温37.1度,SpO2 99%(room air),心拍数102bpm,頭頸部異常なし。呼吸音・心音異常なし。脈不整なし。腹部は軟で,聴診にて少し蠕動音が亢進。圧痛はそれほどなさそうだが何となく嫌がる。鼠径部異常なし。四肢異常なし。capillary refill time(CRT)<1秒。

2 ケースの解説(診察医の頭の中)

病歴は,嘔吐症状があり少し元気がないという。通園しているため,おおかたは胃腸炎による初期の嘔吐症状であろうと勘ぐりながら診察を進める。アレルギーの既往はないが,昼食後1時間経っての嘔吐は,新しいアレルギーの可能性は否定できない。現在までに5時間以上経っているので,アナフィラキシーの可能性は低くなっているが,いつでも動けるようにアドレナリンは0.01 mg/kg imと頭の中で復習。

患児をパッとみた感じでは独歩で入室し意識もはっきりして呼吸も安定しており,バイタルも安定はしているので,ざっくり緊急の病態(髄膜炎・脳炎,循環動態の不全,代謝異常,急性腹症等)はまずなさそうな印象。低血糖らしいフラフラ感も乏しい。下痢のエピソードはなく腸炎とは断定しにくいし,便秘の可能性も残されている。

身体診察を始め,呼吸音の左右差や胸郭の動きも問題なく異物誤嚥の可能性は低い。心音に異常がなく不整脈も考えにくく,腹部の蠕動音はやや亢進気味から胃腸炎の鑑別が上昇。膨満しておらず腸閉塞(腸重積やヘルニア)や金属音などもない。圧痛はないが,虫垂炎は頭の片隅に。腫瘤は触れず,便秘の可能性は下がるが残す。

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