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敗戦の弁[なかのとおるのええ加減でいきまっせ!(356)]

No.5067 (2021年06月05日発行) P.67

仲野 徹 (大阪大学病理学教授)

登録日: 2021-06-02

最終更新日: 2021-06-01

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総長選考、あえなく敗退。投票総数708票のうち98票で約14%。う~ん、もうちょっといくかと思ったんですけど、改革派は予想していたよりも少なかったようです。そら、大学は変わりませんわ。

候補者になることを真剣に考え出したのは年末くらい。それ以前から勧められてはいたけれど、生来のじゃまくさがりもあって、いまひとつ乗り気せず。何人かから強烈にプッシュされてようやくという感じ。

最終的に決めたのは2月の初め頃で、まず必要なのは、講師以上の常勤教員から30名の推薦者。組織のバックなしというのは意外ときつくて、これがいきなり難航した。一時は、面倒なので諦めようと思ったほどだ。

しかし、えらいもんで、仲野の改革案を耳にして、推薦人になってもよいという奇特な教授が何人もあらわれて、無事にクリア。これは本当にありがたかった。

所信表明や活動方針などは、「其の353 突然ですが…」に書いたとおりである。HPからの発信にしぼって、ドブ板活動は一切しないことに決めた。個別訪問や懇談会なしでは票が集まらないとあちこちから言われたけれど、このポリシーは譲れない。そういったアンダーグラウンド活動が大学を悪くしてきたと考えているのだから。

HPが学内でどれくらい読まれたかは全く不明である。はなから改革などに興味のない思考停止気味の教授も多いだろうし。それでも、40日間にわたり、平均1600~1700字の大学に関係するコラムを毎日アップし続けた。我ながら偉いやないの。

楽しい活動しかしないことに決めたのだが、なかでもとりわけ素晴らしかったのは、日本初のアフリカ系学長、マリ共和国出身の京都精華大学学長ウスビ・サコ先生と対談できたことだ。面識などなかったけれど、取り持ってくださる方がいて、実現した。

5月22日の毎日新聞夕刊(大阪版)には、なんと「オープン&公正 大学の命」、「阪大総長に『物言う候補』」、「『所信』HPで発信」の見出し付きで6段抜きの大きな紹介記事、もちろんすごく好意的な記事、まで出してもらえた。これも含めて、外野ならぬ観客席からの声援は最高潮を迎えることに。

でも、残念ながら、プレイヤーたる有権者には、さしてうけなかった、というわけです。不徳のいたすところとしか申しようがございません。お騒がせいたしました。

なかののつぶやき
「サコ学長との対談は、「日本の大学が機能しなくなっている理由」と、「日本の有名大学卒のエリートが小粒になった理由」の2回に分けて日経ビジネスオンラインに掲載されています(【日経ビジネス×仲野徹】で検索してください)。また、対談は12~13分のYouTube映像としてhttps://handainakano.jp にアップしてありますので、ぜひご覧ください。どちらも、かなり笑えて考えさせられるという素晴らしい内容になっています。←自分で言うな」

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