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浮腫[私の治療]

No.5062 (2021年05月01日発行) P.49

本間康一郎 (慶應義塾大学医学部救急医学専任講師)

登録日: 2021-04-30

最終更新日: 2021-04-28

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  • 軽度の浮腫の場合は,緊急性はない。利尿薬の使用による浮腫の急速な改善は,循環虚脱・腎障害を引き起こす可能性があるので,注意する。

    ▶病歴聴取のポイント

    原因:全身浮腫の発生機序は,Starlingの法則から,①静水圧の上昇,②血漿膠質浸透圧の低下,に分類すると理解しやすい。静水圧が上昇する原因としては,心不全,腫瘍・炎症・血栓などによる静脈の閉塞がある。膠質浸透圧が低下する原因としては,肝硬変,腎障害,ネフローゼ症候群,蛋白漏出性胃腸症,栄養障害などがある。

    随伴症状:うっ血性心不全では呼吸困難をきたすことがある。

    既往歴:慢性腎障害,心不全,肝硬変,ネフローゼ症候群など,全身浮腫をきたす既往の有無を聴取する。Ca拮抗薬や非ステロイド性抗炎症薬など,浮腫の原因となりうる薬剤の内服歴を聴取する。

    その他:食塩摂取量,尿量の推移,体重の変動,自覚症状の推移などを聴取する。

    ▶バイタルサイン・身体診察のポイント

    【バイタル】

    重度の浮腫では,呼吸・循環に障害をきたす可能性があるため,呼吸数,血圧,心拍数,酸素飽和度を確認する。

    【身体診察】

    浮腫の診察は,下腿脛骨前面や眼瞼で行う。眼瞼浮腫は起床時に自覚しやすい。局所浮腫の場合は,左右差,発赤,腫脹,疼痛といった炎症所見の有無をきちんと確認することが重要である。毛細血管圧の上昇,低アルブミン血症,血管透過性の亢進,初期の甲状腺機能亢進症・リンパ性浮腫など,ほとんどの浮腫でpitting edema(圧痕性浮腫)となる。圧痕を残さずに回復するnon-pitting edema(非圧痕性浮腫)は,甲状腺機能低下症で特徴的である。

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