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知的障害(知的発達症)[私の治療]

No.5059 (2021年04月10日発行) P.51

本田秀夫 (信州大学医学部子どものこころの発達医学教室教授)

登録日: 2021-04-07

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  • 知能が明らかに低いこと,様々な社会生活場面における適応水準が低いこと,それらが成人期に達するよりも前に発現することを特徴とする。生活の支障の程度によって,軽度,中等度,重度,最重度に分類される。

    ▶診断のポイント

    基礎疾患がないことのほうが多いが,先天性代謝異常(フェニルケトン尿症など),出産前後の感染,中毒,脳外傷,染色体異常(ダウン症候群,脆弱X症候群など)等が原因となることがある。先にこれらの疾患が判明している子どもについては,知的障害の可能性があることを念頭に,心理検査等を進めていく必要がある。中等度~最重度の場合,乳児期に運動発達の遅れで気づかれることがある。軽度のケースでは,言葉の発達などが気づきの契機になることが多い。運動発達や言語発達などを指標として,現在多くの地域で乳幼児健康診査による知的障害の早期発見が行われている。

    診断では,心理検査の所見と生活の様々な場面における適応機能に関する情報をなるべく詳細に収集する。標準化された知能検査は知的障害の診断を進める上で重要な要素のひとつである。幼児期で知的障害が疑われる場合は,「田中ビネー知能検査V」が比較的用いやすい。軽度知的障害かそれより高い知的水準の場合,領域ごとの個人内乖離を評価できるウェクスラー式知能検査(5~16歳はWISC-Ⅳ,16歳以上はWAIS-Ⅳ)が有用である。適応機能については,日本版「VinelandTM-Ⅱ適応行動尺度(VABS-Ⅱ)」などが用いられる。知能指数(IQ)でおおむね70未満の場合に知的障害と診断することが多いが,IQが70以上あってもVABS-Ⅱで適応機能の遅れが顕著である場合,総合的に知的障害と診断する。

    ▶治療・支援の考え方

    基礎疾患があればその治療を行うが,多くの場合は成人後も知的水準が低く日常生活の適応に問題が残る。したがって,福祉や教育などの専門家と多職種連携のチーム体制を組み,地域で支援していく必要がある。チームにおける医師の役割は,全体を俯瞰的にアセスメントし,長期ゴール,短期ゴール等の指針を示すことが主となる。

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