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「社会的処方」~診療所の事例─東京都国立市・新田クリニックの場合[プライマリ・ケアの理論と実践(83)]

No.5041 (2020年12月05日発行) P.12

後藤 励 (慶應義塾大学経営管理研究科准教授)

新田國夫 (医療法人社団つくし会 新田クリニック理事長)

登録日: 2020-12-03

最終更新日: 2020-12-02

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SUMMARY
東京都国立市にある当院では,社会的な課題を抱える患者は圧倒的に高齢者,特に85~95歳が多い。ケアマネジャー資格を持つ看護師を中心に,他の資源も活用して課題解決にあたっているが,人材は常に不足している。

KEYWORD
老老介護
国民生活基礎調査によると,65歳以上同士,75歳以上同士で介護をしている比率は,2001年ではそれぞれの年代の要介護者に対して40.6%,18.7%だったが,2019年では59.7%,33.1%と年々増加している。

後藤 励1) 新田國夫2) (1慶應義塾大学経営管理研究科准教授 2医療法人社団つくし会 新田クリニック理事長)

PROFILE
1998年京都大学医学部卒業。内科臨床研修後,京都大学大学院経済学研究科で医療経済学の研究を行い,博士(経済学)取得。甲南大学,京都大学を経て2016年より現職。今回,新田クリニックで調査をさせていただいた。(後藤,写真も)

POLICY・座右の銘
不平等なものを平等に扱うことくらい不平等なものはない

1 地域と診療所の概要

診療所では患者の社会的な課題をどのように把握し,自施設や他の組織・グループに繋げているのであろうか?本稿では,都市部の診療所の取り組み事例を紹介する。

東京都国立市は,隣接する立川市・国分寺市などとともに北多摩西部医療圏に位置する人口約7万5000人の都市である。令和2年1月の住民基本台帳による65歳,75歳,85歳以上の人口比率は東京都全体と比べて大きな差はなく,平成29年度の住民税課税対象所得は1世帯当たり約455万円と,東京都全体の438万円よりやや高い。

新田クリニックの全職員数は23.7人,うち医師は3人,看護師は7.8人(いずれも常勤換算)である。現在では医療法人社団つくし会として訪問看護ステーションや認知症グループホームなどの福祉関係事業も行っているが,本稿では診療所としての取り組みを取り上げる。

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