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急性肺炎・急性気管支炎(小児)[私の治療]

No.5035 (2020年10月24日発行) P.39

三平 元 (ひがしまつど小児科院長)

登録日: 2020-10-22

最終更新日: 2020-10-21

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  • 咳嗽,鼻漏,発熱などの症状,ラ音の聴取や呼吸音の減弱の理学的所見があるもののうち,胸部X線像において肺に急性に新たな浸潤影が認められる場合を急性肺炎,明確な異常陰影が認められない,あるいは気管支紋理増強が認められる場合を急性気管支炎と診断する1)

    ▶診断のポイント

    咳嗽増悪の経過,ラ音,呼吸音減弱等の聴診所見より,急性気管支炎や急性肺炎を疑う。胸部X線,喀痰細菌培養,咽頭擦過物マイコプラズマ核酸検出(LAMP法)等の検査を参考にする。

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方

    呼吸器症状を主訴とし,ラ音の聴取や呼吸音の減弱の理学的所見を認めた場合,まずは去痰薬や気管支拡張薬,解熱剤などの対症療法で経過をみる。急性肺炎の一部,急性気管支炎のほとんどは,ウイルスが原因微生物であり抗菌薬は不要であるが,肺炎球菌,インフルエンザ菌,モラクセラ・カタラーリス等の細菌,肺炎マイコプラズマ,肺炎クラミジア等が原因微生物と考えられる場合は,抗菌薬を用いる。なお,小児市中肺炎においては,5歳未満ではウイルスや細菌の頻度が高いが,6歳以上になると肺炎マイコプラズマ,肺炎クラミジアの割合が高い2)ことに留意して抗菌薬を選択する。内服抗菌薬治療が効果に乏しく,哺乳不良,食欲低下,活気不良,全身倦怠感を認める際は,入院治療を考慮する。

    また,薬剤の使用に際し,鎮咳薬は排痰の抑制,食欲不振,便秘,眠気等の副作用を,抗ヒスタミン薬は喀痰の粘稠化・去痰困難を起こしたり,眠気,興奮,幻覚,痙攣,無呼吸等の副作用を認めることがあるため,両薬剤とも十分な注意が必要である。なお,ピボキシル基を有する抗菌薬は,低カルニチン血症に伴う低血糖が現れることがあるので,痙攣,意識障害等の低血糖症状を認めた場合は投薬を中止する。加えて,ミノサイクリンは8歳未満の小児に投与した場合,歯牙の着色,エナメル質形成不全,一過性の骨発育不全を起こすことがあるので,他の薬剤が使用できないか,無効の場合にのみ適用を考慮する。

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