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■NEWS 【国際脳卒中学会(ISC)】脳卒中後うつ状態の詳細が明らかに─「疲れと睡眠障害」のみを訴える患者に注意

No.5005 (2020年03月28日発行) P.68

登録日: 2020-02-26

最終更新日: 2020-02-26

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脳卒中後、およそ3割がうつ状態を経験するとされているが、発症後の経時的変化の詳細は必ずしも明らかではない。2月19日からロサンゼルス(米国)で開催された国際脳卒中学会(ISC)では、米国レジストリを用いてこの点を詳細に検討した結果が発表された。Liming Dong氏(ミシガン大学、米国)が、一般口演で報告した。

解析の対象とされたのは、テキサス州の多人種住民レジストリであるBASICBrain Attack Surveillance in Corpus Christi)プロジェクトに登録された682例である。平均年齢は65.9歳、発症時NIHSS平均値は4.2だった。

これらを対象に、脳卒中発症3カ月後と6カ月後(572例)、さらに1年後(563例)に、面談の上、うつ状態を評価した。うつ状態の評価には、PHQ-8質問票を用いた。「興味喪失」、「抑うつ」、「自尊心喪失」、「睡眠障害」、「疲労」、「食欲変化」、「集中力欠如」、「精神運動性の変化」の8項目につき、頻度を2週間中「まったくない」、「数日」、「8日以上」、「ほぼ毎日」の4択で回答し、0から24まで点数化する。10点以上が「うつ状態」である。

その結果、脳卒中発症3カ月後、35.2%がうつ状態にあったが、6カ月後には24.5%へ減少した。しかしそれ以上の経時的減少は認められず、1年後も25.9%がうつ状態にあった。また、脳卒中後に認められたうつ状態は、4パターンに分類可能だった。症候が「軽度・なし」、「中等度」、「重度」に加え、「疲労・睡眠障害のみ」である。発症3カ月後時点では、この「疲労・睡眠障害のみ」は、「軽度・なし」に次いで2番目に多かった(27.5%)。

うつ状態から回復した患者の割合は、発症3カ月後から6カ月後で50.8%だったのが、6カ月後から1年後では39.6%と減っていた。

またうつ状態例のみで検討しても、改善が多く見られたのは発症3カ月後から6カ月後の間であり、6カ月以上経過すると増悪する例が増える傾向にあった。

Dong氏は実臨床において、「疲労・睡眠障害のみ」タイプのうつ状態が見逃されている可能性を懸念していた。

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