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Web問診連動型の予約受付システムで診療プロセスを効率化[クリニックアップグレード計画 〈システム編〉(16)]

No.4999 (2020年02月15日発行) P.14

登録日: 2020-02-13

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デジタル技術の進化に伴い、医療機関と患者双方のニーズを満たすことを目的としたオンラインサービスが各種登場している。シリーズ第16回は、新規集患に効果的な病院・クリニック検索口コミサイトと患者の待ち時間を解消する受付機能、Web問診が一体化した予約受付システムを取り上げ、同システムを活用することで院内業務の効率化、診療の質と患者満足度の向上の実現を目指しているクリニックの事例を紹介する。

日医総研が3年ごとに実施する「日本の医療に関する意識調査」によると、患者が「受けた医療」に対し最も不満を感じているのは「待ち時間」で、「診察日・診察時間」に対する不満も高いことが分かっている(図1)。

こうした状況を踏まえ、名古屋市の代表的な繁華街・栄の中心地にあるクリニックフラウ栄では、Web問診と連動した予約システムを活用。患者とスタッフがそれぞれ問診にかける時間を短縮することで、診療メニューによっては10分単位での予約も可能にした。予約枠を増やすことで忙しい現役世代の患者でも継続的に通院しやすい環境にするのが当面の目標だ。

時間に追われる現役世代の負担を軽減

同院は日本産科婦人科学会専門医、日本乳癌学会認定医の宮島慎介院長が2016年1月に開業。子宮がん検診と乳がん検診を同一施設で実施するなど、女性特有の疾患をワンストップで診ることができる数少ないクリニックの1つだ。

「子宮がんや乳がんで大切なのは早期発見・早期治療です。しかし20〜30代の女性は仕事や子育てなどでとても忙しく、定期的な検査を受けるためにいくつものクリニックを掛け持ちすることは困難です。私は産婦人科と乳腺外科の“ダブルメジャー”なので、当院ではどちらのがんについても検査や治療を受けることができます。時間に追われる現役世代の女性の負担を軽減することで受診率を高め、早期発見・早期治療につなげていきたいと考えています」(宮島院長)

予約時間通りに受診できるシステム

同院が導入しているのは、医療機関の口コミ検索サイト「caloo」を運営するカルー株式会社が開発した予約システム「アポクル」(https://apokul.jp/)。開業時から使用していた他社の予約システムに費用対効果の面で不満を感じていたところ、広告掲載で取引のあったカルーが予約システムを手がけていることを知り、「初期費用無料・月額利用料1万円から」と低額だったため、2018年10月から切り替えた。

アポクルは、機能や操作性がシンプルかつクリニックに合わせた詳細なカスタマイズが可能で、クリニックと患者の双方が使いやすい予約システムという特徴がある。予約受付は「時間予約」「順番待ち予約」の機能があり、科目ごとに予約方法を選択できる。

また電子カルテと連動したオンライン問診「アポクル問診」とのセット利用で、予約完了と同時にWeb問診に患者を誘導。アポクル問診は、スマートフォンやタブレットからの入力が可能で、高い回答率が期待できる。クリニックにとっては問診情報が自動で電子カルテに反映されるため、宮島院長は問診業務の効率化を実感している。

「患者さんからすると、せっかく予約を取っても問診入力に時間がかかり、予約時間通りに診察を受けられないというケースが多々あります。当院では受付を済ませたらすぐに診察を受けることが可能です。問診情報がリアルタイムで電子カルテに飛ぶので、丁寧に患者さんの話を聞いても診察にかかる全体の時間は短くなっています。スムーズな診療が受けられるということで、患者さんの満足度は向上していると思います」

事務長の谷口絵里子さんは予約システムとWeb問診の併用による、患者対応上のメリットを指摘する。「クリニックを訪れる患者さんは少なからず不安を抱えています。人間でなくても構わない作業は機械に任せ、ひとりの人間として患者さんの不安に寄り添うための時間を捻出することが大切だと感じています」

口コミ検索サイト連動で新規集患が期待

アポクルには新規集患にも効果的な仕組みがある。カルーが運営する口コミ検索サイト「caloo」にクリニックの詳細ページ(図2)を掲載することで、「ネット予約」のボタンやホームページ、電話番号などから新規集患が期待できる。詳細ページは口コミに加え、カルーのスタッフが取材を行い、クリニックの基本情報や診療スタイルの特徴などを掲載。予約状況も確認できるため、患者とクリニックのマッチングを促すコンテンツとなっている。

「患者さんがクリニックを探すときの『比較したい』『受診した人のリアルな声が聞きたい』という希望と私たちの『当院の想いを伝えたい』という希望を満たす情報が掲載されているので、ミスマッチが減り、新規の患者さんが増えるだけでなくリピート率も高まっていると感じています」(谷口事務長)

患者の事情に合わせ通院できるクリニックに

開業から4年が経ち、紹介や検索サイトなどの効果もあり、海外赴任から一時帰国時に受診する患者がいたり、名古屋市と50km以上離れた豊橋市から通院する患者がいたりと集患は順調だという。

「検索サイトの口コミを見て遠方から来てくださる患者さんも増えてきました。患者さんの期待を裏切らないよう、個々の都合や事情に合わせて通院できるシステムを整えることが大切だと考えています。今後は美容も含め、女性をトータル的にサポートできるクリニックにしていきたいと思います」(宮島院長)

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