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リンパ浮腫[私の治療]

No.4983 (2019年10月26日発行) P.43

笠井昭吾 (琉球大学医学部附属病院形成外科)

登録日: 2019-10-29

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  • リンパ浮腫とは,リンパの輸送障害により組織間液が貯留し,組織がむくむ状態である。原因により,一次性(原発性)リンパ浮腫と二次性(続発性)リンパ浮腫にわけられる。一次性リンパ浮腫はさらに先天性,早発性(〜35歳),遅発性(35歳〜)にわけられる。二次性リンパ浮腫の原因には,手術,放射線,外傷,感染などがある。わが国ではリンパ節郭清術を伴う悪性腫瘍治療後に生じる二次性リンパ浮腫,中でも四肢リンパ浮腫が最も多く,女性が8割以上を占める。上肢では乳癌手術,下肢では婦人科系がん手術が大きな要因である。心不全に伴う心性浮腫とは発症原因が明確に異なることに注意する必要がある。

    ▶診断のポイント

    【症状】

    浮腫はびまん性に緩やかに進む。可逆性の浮腫がやがて不可逆なものとなり,さらに進行すると皮膚の硬化,脂肪沈着をきたす。最終的に皮膚は角化し象皮となる。また,蜂窩織炎を繰り返したり,リンパ漏を生じたりと生活の質は著しく低下する。

    【診断】

    まず,病歴から急速に進行する浮腫の場合は占拠性病変の除外のため,CTやMRIによる評価を行う。

    リンパ管シンチグラフィーは浮腫の進行や残存リンパ管を視覚的に評価できるため有用であり,当院では全例に行っている。ICG蛍光造影は,リンパ浮腫治療のためのリンパ管静脈吻合術前に吻合に適したリンパ管をマーキングするために行うほか,術後のリンパ管開存評価のために行う。

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方

    形成外科領域では,リンパ浮腫に対する外科的治療は年々盛り上がりをみせているものの,全国的,世界的にみれば,今なお治療の基本は理学療法である。外科的治療は理学療法と組み合わせることで一定の効果が得られる。

    早期に治療を開始するほど改善しやすく,進行例では非常に反応が悪くなる。わが国では,悪性腫瘍治療後の二次性リンパ浮腫がほとんどであるため,予防も含めた早期の治療導入は行いやすい。しかし,不顕性のリンパ流障害に対して,予防的に弾性着衣やドレナージを強いることは避け,まずは浮腫を増悪させないための日常生活指導を行う。

    実際に形成外科を受診する患者は,国際リンパ学会(International Society of Lymphoedema:ISL)病期2期以降であることが多く,まず複合的理学療法を開始する。

    複合的理学療法は,浮腫の縮小のためにセラピストが連日ドレナージと多層圧迫包帯・運動療法を行う第1相と,維持目的で患者自身がセルフドレナージ,弾性着衣,スキンケアを行う第2相とからなる。2016年度から複合的治療が保険収載されたものの,その条件は厳しく基準を満たす施設は少ない。当院では提携クリニック(自由診療)で短期のドレナージを行い,可及的に浮腫の縮小を図った後に弾性着衣による維持を行っている。その効果をみて,さらなる改善を希望する例や,蜂窩織炎を繰り返す例では手術を検討する。

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