株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

スポーツと内科系疾患─内科的問題の解決で,命を守り,パフォーマンスを向上させる![プライマリ・ケアの理論と実践(18)]

No.4965 (2019年06月22日発行) P.10

小松孝行 (順天堂大学医学部附属練馬病院救急・集中治療科)

登録日: 2019-06-20

最終更新日: 2019-06-19

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

SUMMARY
健康増進において重要なスポーツの安全な実践に,内科系疾患は弊害となる。また東京五輪を控え,トップアスリートの内科系疾患に対する受診機会が増える可能性もあるため,その対応時のポイントを簡単に概説する。

KEYWORD
非整形外科系スポーツドクター
トップアスリートだけでなく健康増進としてのスポーツや運動療法など,運動に関わる問題を扱うスポーツドクターにおいて,非整形外科疾患への対応のニーズも大きい。

小松孝行 (順天堂大学医学部附属練馬病院救急・集中治療科)

PROFILE
救急科専門医・集中治療専門医・総合内科専門医・日本スポーツ協会公認スポーツドクターの資格を持ち,日々一般市民からトップアスリートの診療まで幅広く対応している。

POLICY・座右の銘
すべてのことには意味がある

1 なぜスポーツにおいて内科系疾患が重要か?

スポーツドクターの役割は大きく「競技者の安全の確保」と「競技力の向上」に分類される。スポーツ医学が扱う領域は多岐にわたるが,特にリオデジャネイロオリンピックにおいて,何らかの疾病対応を要した者のうち,7割以上が内科系疾患であった事実1)からも,内科系疾患を扱う重要性が理解できよう。

1 心疾患を評価し競技中の突然死を防ぐ

競技中の突然死の要因は若年のアスリートであれば95%以上が心疾患を背景としており2),その大半は先天性心疾患である。一方,一般成人も心疾患が多いものの,不十分な準備により参加した結果,虚血性心疾患の高リスク者が心筋梗塞およびそれに伴う致死的不整脈を発症するケースも残念ながらある。

「運動を安全に行える状態か」の判断は,一般人であれば健診や日々の受診時に行い,時に介入する。アスリートに対しては先天性心疾患など含め,メディカルチェック(いわゆる健診であるが,たとえばマルファン症候群などのリスクが高い場合には心臓超音波検査が実施される)により,心臓突然死のリスクを持つ競技参加者を認識し,場合によっては競技参加中止などの対応を講じる。

では,事前の評価で抽出しきれず,心肺停止が発生した場合にはどのように対応すればよいだろうか?当然,一次救命処置を講じるのだが,致死的不整脈が多いため,特に自動体外式除細動器(automated external defibrillator:AED)と心臓マッサージが重要となる。わが国のマラソンレース中に目撃された心肺停止発生例の全例で心拍再開していることから3),競技開催時のAEDの配置などの救護体制に関しても,医師の立場から提言できればなおよいだろう。

このコンテンツは会員向けコンテンツです
→ログインした状態で続きを読む

関連記事・論文

もっと見る

関連書籍

もっと見る

関連求人情報

長崎県五島中央病院

勤務形態: 常勤
募集科目: 整形外科 1名
勤務地: 長崎県五島市

当院は下五島地域唯一の基幹病院として、長崎大学病院等と連携しながら、五島で完結できる医療を目指しています。
離島内の他の医療機関では出来ない高度・専門医療や離島で不足しがちな救急医療、周産期・小児医療、精神科医療、回復期医療を提供することで“郷診郷創”(地域での受診が地域を創る)を進めています。
共に地域医療を担っていただける医師を募集しています。

当院は癌などの専門的治療の他、精神・結核などの政策医療、24時間2.5次救急にも対応しています。
3次救急患者については、遠隔画像伝送システムを利用し、本土までヘリコプター搬送して住民の命を守っています。
また、基幹型臨床研修病院として、研修医の受け入れも行っています。
ロケーション的には、美しい海と豊かな自然に恵まれ、四季を通じて、マリンスポーツや釣りが楽しめます。

ショッピング等については、中型・大型のスーパーが数店舗あり、ファミリーレストラン・コンビニエンスストアもありますので、基本的に不便を感じることはないと思います。
食に関しては、五島牛や新鮮な魚介類、季節の旬な野菜が何時でもおいしく食べることができます。
共に五島で働きましょう。

国民健康保険 平戸市民病院

勤務形態: 常勤
募集科目: 整形外科
勤務地: 長崎県平戸市

当院は、地域における唯一の病院として二次救急を含め地域住民の医療を支えていますが、整形医が退職し医師確保が喫緊の課題となっています。
地域との触れ合いを大切に地域に愛され信頼される包括医療の実践を基本理念としています。
地域医療を担っていただける医師の応募をお待ちしています。
●本土からの位置、島の魅力
平戸市は、九州の西、長崎県の北西部に位置します。古代から海外に窓を開き大陸交流の玄関口として栄え、歴史的にも深いつながりがあった1市2町1村(平戸市・生月町・田平町・大島村)が合併し、2005年10月に新生「平戸市」が誕生しました。少子高齢化、人口減少など過疎化による地域活力の低下が懸念される中、本市が有する恵まれた自然環境や独自の歴史・郷土文化資源など多彩で魅力ある地域資源を最大限に活かしながら、市民一人ひとりがまちづくりの主役として輝き、官民協働のまちづくりの実現に向け積極的に取り組んでいます。
世界文化遺産に登録「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」12の構成資産のうち2資産が当平戸市内(市民病院医療圏域)に所在しています。
●長崎大学と連携して取り組んでいる「国境を越えた地域医療支援事業」において、当院がその研修拠点施設と位置付けられております。
●人口 26,561人(令和7年4月1日現在)
●観光客数 年間約138万人 ●主な産業 観光・農業・水産業

関連物件情報

もっと見る

page top