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診療所救急〈総論〉─動きながら考える Triage & Action ![プライマリ・ケアの理論と実践(8)]

No.4955 (2019年04月13日発行) P.8

遠井敬大 (東京医科大学病院総合診療科)

登録日: 2019-04-11

最終更新日: 2019-04-10

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SUMMARY
診療所救急の現場では,問診・バイタルの変化から緊急性の高さを的確に判断することが重要である。また予測されうる救急患者をいかに減らすことができるかも診療所における大切な役割のひとつである。

KEYWORD
動きながら考える
普段の診療と異なり,緊急性を判断した後は,考えてから動くのではなく動きながら考えることが重要である。

遠井敬大(東京医科大学病院総合診療科)

PROFILE
東京医科大学病院総合診療科で家庭医療研修を行い,川崎セツルメント診療所所長・埼玉医科大学総合医療センター救急科を経て現職。日本プライマリ・ケア連合学会家庭医療専門医・指導医

POLICY・座右の銘
夢のあるところに行動がある
行動は習慣をつくり,習慣は人格をつくり,人格は運命をつくる

1 診療所における救急医療の実情

プライマリ・ケア実践の最前線として診療所での医療が挙げられるが,診療所における救急医療となると改めて語られることは少ない。今回より複数回にわたり診療所における救急医療の実際を考えてみたい。

最初に総論として,診療所における救急医療全般に関して考えてみる。

診療所での外来診療の大半は,慢性疾患の定期通院患者やcommon diseaseが中心で,救急患者に出会うことは滅多にない。実際にプライマリ・ケアの受療動向を調べたWhiteらの研究では1),成人1000人を1カ月間追跡した結果,医師を受診する患者は250人で,その中で入院を要する患者は9人,他の医師に紹介される患者は5人,大学病院に紹介される患者は1人と言われており,診療所で緊急に紹介する必要がある患者はごくわずかと予想される(図1)。

このような中で,実際に診療所において急変患者に対応することの難しさは2点ある。1点目は,ほとんどの患者で緊急性が低い中,急変する患者を的確に見わけなければいけない点。もう1点は,医師・診療所スタッフが急変患者に慣れていない中で,確実な対応を求められる点である。

実際に,診療所における救急患者に対してどのような対応を心がけたらよいか考えてみる。

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