株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

SGLT2阻害薬が変える2型糖尿病治療

No.4943 (2019年01月19日発行) P.50

江尻健太郎 (岡山大学循環器内科)

登録日: 2019-01-16

最終更新日: 2019-01-15

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

【心血管疾患発症の抑制を目的とした薬剤選択】

元来糖尿病治療は,血糖値を下げることに主眼が置かれ,血糖降下作用の強さが選択基準となっていた。しかし,2007年に,海外で当時使用されていたチアゾリジン系薬のRosiglitazoneによって,心筋梗塞発症リスクが有意に増加することが報告された。この研究結果は衝撃的で,血糖値を下げる薬剤のすべてが心血管疾患(CVD)を抑制するわけではない,ということが明らかになった。

改めて糖尿病治療におけるCVDの発症抑制が注目されることになったのだが,新たに登場したインクレチン関連薬であるDPP-4阻害薬では安全性は認められたものの,CVD抑制効果は認められなかった。また,GLP-1受容体作動薬も,わずかにCVD抑制効果を示すのみで,十分な効果は認められなかった。

それに対して良い意味で期待を裏切ったのがSGLT2阻害薬である。SGLT2阻害薬は腎臓の近位尿細管にあるナトリウムグルコース共輸送体2を阻害し,尿中からのグルコース再吸収を抑制することで血糖値を下げる薬剤である。CVD抑制効果については当初まったく期待されていなかったが,大規模臨床試験においてSGLT2阻害薬のCVD抑制効果が近年相次いで報告された1)2)。これをふまえ,17年に米国糖尿病協会はSGLT2阻害薬の使用を強く推奨するとした治療指針を発表した。近い将来,SGLT2阻害薬は2型糖尿病治療に必須の存在となることが予想される。今後の動向に注目したい。

【文献】

1) Zinman B, et al:N Engl J Med. 2015;373(22): 2117-28.

2) Neal B, et al:N Engl J Med. 2017;377(7):644-57.

【解説】

江尻健太郎 岡山大学循環器内科

関連記事・論文

もっと見る

関連書籍

もっと見る

関連求人情報

公立小浜温泉病院

勤務形態: 常勤
募集科目: 消化器内科 2名、呼吸器内科・循環器内科・腎臓内科(泌尿器科)・消化器外科 各1名
勤務地: 長崎県雲仙市

公立小浜温泉病院は、国より移譲を受けて、雲仙市と南島原市で組織する雲仙・南島原保健組合(一部事務組合)が開設する公設民営病院です。
現在、指定管理者制度により医療法人社団 苑田会様へ病院の管理運営を行っていただいております。
2020年3月に新築移転し、2021年4月に病院名を公立新小浜病院から「公立小浜温泉病院」に変更しました。
6階建で波穏やかな橘湾の眺望を望むデイルームを配置し、夕日が橘湾に沈む様子はすばらしいロケーションとなっております。

当病院は島原半島の二次救急医療中核病院として地域医療を支える充実した病院を目指し、BCR等手術室の整備を行いました。医療から介護までの医療設備等環境は整いました。
2022年4月1日より脳神経外科及び一般外科医の先生に常勤医師として勤務していただくことになりました。消化器内科医、呼吸器内科医、循環器内科医及び外科部門で消化器外科医、整形外科医の先生に常勤医師として勤務していただき地域に信頼される病院を目指し歩んでいただける先生をお待ちしております。
又、地域から強い要望がありました透析業務を2020年4月から開始いたしました。透析数25床の能力を有しています。15床から開始いたしましたが、近隣から増床の要望がありお応えしたいと考えますが、そのためには腎臓内科(泌尿器科)医の先生の勤務が必要不可欠です。お待ちいたしております。

●人口(島原半島二次医療圏の雲仙市、南島原市、島原市):126,764人(令和2年国勢調査)
今後はさらに、少子高齢化に対応した訪問看護、訪問介護、訪問診療体制が求められています。又、地域の特色を生かした温泉療法(古くから湯治場として有名で、泉質は塩泉で温泉熱量は日本一)を取り入れてリハビリ療法を充実させた病院を構築していきたいと考えています。

もっと見る

関連物件情報

もっと見る

page top