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ドクターショッパーの患者さんから教わったこと[プラタナス]

No.4932 (2018年11月03日発行) P.3

杉浦敏之 (医療法人社団弘惠会杉浦医院理事長)

登録日: 2018-11-03

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  • その女性とは4年前に出会った。当時53歳。風邪を引き、近所の医院(私の大学の後輩が開業)で診てもらっていたが呼吸困難感が出現したとのことで、なぜか当院に紹介された。問診を取っていると、なにやら独特の雰囲気がある。原疾患はSLE疑いとのことだが、確定診断は付いていない。歩行は不自由で両手で杖をついており(当時は原因不明)、おまけにプレドニゾロンを服用している。

    これまでに複数の大学病院に通院歴があり、通院に2時間を要する私の母校(千葉大学)で教授をしている大先輩にまで通院されていたようで、その先輩からはミュンヒハウゼン症候群の疑いもあると情報をいただいた。いわゆるドクターショッピングを繰り返している方である。

    こうなったのには何か理由があるのであろうと、こいつは参ったなと思う心を抑えて、少しずつ事情を聞いてみた。よくあるドクターショッパーは自分の言いたいことを、他の患者さんを待たせていることはいっさい気にせずに話すことが多いのだが、この方は違った。私の限られた診療時間を無駄にしないようにと理路整然と話し(愁訴は多いが)、周囲の患者さんを気遣っていた。

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