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GLP-1受容体作動薬の心血管アウトカムに関する大規模臨床試験:LEADER,SUSTAIN6

No.4927 (2018年09月29日発行) P.53

山根俊介 (京都大学大学院医学研究科糖尿病・内分泌・栄養内科学)

稲垣暢也 (京都大学大学院医学研究科糖尿病・内分泌・栄養内科学教授)

登録日: 2018-09-27

最終更新日: 2018-09-25

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【GLP-1受容体作動薬が糖尿病患者の心血管リスクに及ぼす影響についてはさらなる検討が必要】

GLP-1受容体作動薬リラグルチドの心血管アウトカムに関する大規模臨床試験であるLEAD ER1)の結果,3 point-MACE(心血管死または非致死性心筋梗塞または非致死性脳卒中)発生率はリラグルチド群のほうがプラセボ群よりも低いことが示された。LEADERでは,用いられたリラグルチドの用量は平均1.78mg/日と,わが国での使用可能用量0.9mg/日のほぼ倍量であり,またプラセボ群でインスリンの併用頻度が高く,低血糖の発生が有意に多かったことも心血管イベント増加に寄与した可能性がある。また,セマグルチドを対象としたSUSTAIN62)では,セマグルチド群で3 point-MACE発症の有意な減少が証明された。

両試験を比較すると,リラグルチドは3 point-MACEの中でも心血管死を有意に抑制し,セマグルチドは非致死性脳卒中を抑制するという相違もみられたが,現在のところ理由は明らかでない。両試験とも「診断が確定している心血管疾患」および「慢性腎臓病ステージ3以上」のどちらかあるいは両方を有する者が80%以上を占めるなど,心血管リスクの高い患者が対象とされており,2型糖尿病患者全般が対象となる実臨床での心血管イベント抑制効果に関しては,さらなる検討が必要である。

【文献】

1) Marso SP, et al:N Engl J Med. 2016;375(4): 311-22.

2) Marso SP, et al:N Engl J Med. 2016;375(19): 1834-44.

【解説】

山根俊介,稲垣暢也 京都大学大学院医学研究科糖尿病・内分泌・栄養内科学 *教授

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