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(1)CKDによるサルコペニア・フレイルの評価法[特集:CKDとサルコペニア・フレイル─栄養・運動療法の実践]

No.4925 (2018年09月15日発行) P.30

加藤明彦 (浜松医科大学医学部附属病院血液浄化療法部部長/病院教授)

登録日: 2018-09-18

最終更新日: 2018-09-12

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慢性腎臓病(CKD)患者でも,AWGSのサルコペニア診断基準を用いる

透析患者は,骨格筋量の減少よりも握力や通常歩行速度の低下のほうが予後に関連する

CKD患者のフレイルは腎予後や生命予後に悪影響する

フレイルのスクリーニングには,臨床フレイルスケール(CFS)やFRAILを用いる

1. サルコペニアの評価法

1 地域居住高齢者

サルコペニアの診断法はいまだに統一されておらず,一般高齢者の原発性サルコペニアには6つ,肝疾患に伴う二次性サルコペニアには1つの診断基準が存在する。表1に代表的な診断基準を示す。

 

日本サルコペニア・フレイル学会の「サルコペニア診療ガイドライン2017年版」では,わが国の日常診療ではAsian Working Group for Sarcopenia(AWGS)の診断基準1)を用いることを推奨している。

(1)筋肉量を測定するDXA法とBIA法

サルコペニアの診断に必須である筋肉量の測定は,二重エネルギーX線吸収(dual energy X-ray absorptiometry:DXA)法または生体電気インピーダンス(bioelectrical impedance analysis:BIA)法を用いて四肢骨格筋量(kg)を測定し,身長(m)の2乗で除したskeletal muscle index(SMI)(kg/m2)を算出することが基本となる。

しかし,BIA法は装置や解析ソフトウェアによって値がバラつく問題があり,DXA法には被曝の問題がある。そのため,最大下腿周囲長(男<34cm,女<33cm)を代用し,筋肉量減少を推定する方法がわが国によって考案されている2)

(2)下腿周囲長に注目した指輪っかテスト

サルコペニアのスクリーニング法では,下腿周囲長に注目した「指輪っかテスト」が有用である。椅子に深く座った状態で,自分自身の両手の親指と人さし指で輪っかをつくり,利き足と反対側のふくらはぎを囲むやり方である。両手で囲めない場合と比較すると,ちょうど両手でふくらはぎを囲める場合には2.4倍,隙間ができる場合には6.8倍,サルコペニアを合併しているリスクが高くなる。さらに,新規に介護が必要となるリスクもそれぞれ2.0および3.2倍高い3)

(3)歩行速度を推測する立ち座りテスト

通常の歩行速度を推測する方法として,椅子からの5回立ち座りテストの秒数がある。5回の立ち座りテスト(秒)=20-(6m歩行速度)×8.41の関係にあるため,13.3秒以内に椅子から5回立ち上がりができれば,通常歩行速度は0.8m/秒以上となる4)

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