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名郷直樹のその場の1分,その日の5分 多忙な医師でもできるエビデンスの仕入れかた

定価:5,170円
(本体4,700円+税)

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著: 名郷直樹(武蔵国分寺公園クリニック院長)
判型: B5判
頁数: 272頁
装丁: 2色刷
発行日: 2015年03月06日
ISBN: 978-4-7849-4475-0
版数: 第1版
付録: -
・週刊日本医事新報の好評連載「GPのためのPower UPレシピ」「その場の1分,その日の5分」が待望の単行本化です。€
・「その場の1分,その日の5分」は,日常臨床で生じる疑問について,EBMの5つのステップに沿って,疑問が起きた時点で1分間勉強し,その日の仕事が終わったところでさらに5分間の勉強を追加,その結果をその場その場で現場の患者に役立てていく,EBMの実践方法の1つのあり方です。€
・「忙しい臨床医を支えるアプローチ法」「日々実践してこそEBM」をコンセプトに,多忙を極める医師の勉強をサポートします。
診療科: 医学一般
  内科

目次

第1章 診療所医師のためのPower UPレシピ
はじめに
診断のための様々な武器
検査ができないことを武器にする─MRIを撮ってほしいと言う患者にどう向き合うか
多忙な診療所医師のためのEBM①─ 5つのステップとPECO,真のアウトカム
多忙な診療所医師のためのEBM②─ その場の1分,その日の5分
多忙な診療所医師のためのEBM③─ PubMedのClinical Queries とCMEC-TV,ジャーナルクラブ
患者中心の医療の方法─ 解釈モデルを手がかりに信頼関係を構築し共通基盤をつくる
慢性疾患患者や禁煙外来に必須の行動科学─ 動機づけ面接を使ってみる
倫理的な問題をどう考えるか─ 4分割表を使って
高齢者の評価に必須の高齢者総合評価の方法─この患者はどんな患者か
研修医を受け入れたときの教育技法─ 1カ月の地域医療研修を例に
第2章 その場の1分その日の5分
Case 1 降圧薬はやめられるか?
Case 2 A型肝炎は劇症化しない?
Case 3 潜在性甲状腺機能低下症は治療すべき?
Case 4 副鼻腔炎に抗菌薬を投与すべきか?
Case 5 小児の中耳炎に抗菌薬を投与すべきか?
Case 6 喉頭蓋炎の診断は?
Case 7 無症候性高尿酸血症は治療すべきか?
Case 8 クループにデキサメタゾンは有効か?
Case 9 小児喘息は大人になれば治るのか?
Case 10 インフルエンザの検査希望の患児,実は…─事前確率見積もりの重要性Case 11 片頭痛の予防に効く薬は?
Case 12 抗インフルエンザ薬は,周囲への感染期間を短縮するか?
Case 13 耳鳴りに有効な治療はあるか?
Case 14 乳幼児突然死症候群の予防におしゃぶりが有効?
Case 15 薬で散らした虫垂炎の再発率はどれくらいか?
Case 16 おしゃぶりは歯並びを悪くする?
Case 17 吸入ステロイドで安全なのは?
Case 18 X脚はいつ紹介すべきか?
Case 19 突発性発疹で発疹が出てくるのはいつごろか?
Case 20 無痛性甲状腺炎・橋本病の甲状腺中毒症とバセドウ病を
いかに鑑別するか?
Case 21 禁煙補助薬の副作用─心血管疾患は増えるのか?
Case 22 乳児の細気管支炎はどれほど長引くのか?
Case 23 呼吸数で小児の肺炎を見分けられるか?
Case 24 アレルギーの血液検査は正確か?
Case 25 上の血圧と下の血圧は差がないとダメ?
Case 26 脳梗塞予防のために同じような薬が2つも必要なんですか?
Case 27 この解熱薬を使っても喘息は悪化しませんよね?
Case 28 熱があるのに抗菌薬は処方しないんですか?
Case 29 熱性痙攣は繰り返しますか?
Case 30 ディオバン®を飲み続けてもいいのでしょうか?
Case 31 卵アレルギーはインフルエンザワクチン禁忌ですか?
Case 32 80歳過ぎの軽症高血圧でも薬を飲んだほうがいいですか?
Case 33 ジベルバラ色粃糠疹に効く治療は何でしょうか?
Case 34 ワルファリン服用者のPT?INRのモニター間隔は?
Case 35 DPP?4阻害薬は第一選択薬になるか?
Case 36 前立腺癌検診は受けるべき?
Case 37 乳癌検診は受けるべき?
Case 38 ポリープが見つかると毎年大腸内視鏡検査が必要なのでしょうか?
Case 39 Brugada症候群の心電図を見たらどうする?
Case 40 喘息の診断にスパイロメトリーは必要ですか?
Case 41 健診は毎年受けたほうがいいのでしょうか?
Case 42 EBMが患者アウトカムを改善したというエビデンスはありますか?

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序文

「忙しい臨床医を支えるアプローチ法」「日々実践してこそEBM」をコンセプトに,週刊日本医事新報に連載した「GPのためのPower UPレシピ」「その場の1分,その日の5分」をまとめて1冊の本として出版することになりました。これまで多くの臨床医向けのための本を出してきましたが,これまでのものとは一線を画したものにできたのではないかと思っています。

私は2011年に東京都内で開業しましたが,それと同時にスタートしたこの連載の中で,自分自身が日々の臨床の中で向き合う疑問について,「その場の1分,その日の5分」で実践したことを,月に1回の頻度で記事にしてきました。

€「その場の1分,その日の5分」とは,日常臨床で生じる疑問に対し,EBMの5つのステップに沿って,とにかく疑問が起きた時点で1分間勉強して,さらにその日の仕事が終わったところでさらに5分間の勉強を追加して,その結果をその場その場で現場の患者に役立てていこうという,EBMの実践方法のひとつの在り方です。そこにはEBMだけでなく,様々な臨床手法も組み入れられています。そしてその方法によって書かれた本書は,私自身の日々の臨床の実践の記録でもあり,そのことで,これまでの著書とは異なる,より実践的なものにすることができたと思っています。病院,診療所を問わず,すべての医師に役立つものになったのではないかと自負しています。

€ここに書かれた内容は,執筆の時点での勉強内容に基づいており,既に古くなってしまっています。しかし,本の内容というものは,時間がたてば,例外なくすべて古くなってしまうものです。出版に際し,その時点でのエビデンスを追加したところで,店頭に本が並んだ時には古くなってしまいます。出版から時間がたってしまえば,さらに古くて使えなくなってしまうでしょう。

だから,本書が示すのは勉強の内容ではありません。内容ではなく,そこにたどり着くまでの方法や,得た情報を批判的に吟味し,個別の患者に役立てていくための手法をお伝えするのが本書の役割だと考えています。そしてその手法は,内容が古びていくほどには古びることなく,時間がたってもそれほど大きくは変わらないでしょう。

€そうした事情を考慮して,それぞれの内容は執筆時のままにしてあります。ぜひそれぞれの項目について,読者の皆さんにそれぞれの「その場の1分,その日の5分」を実践して頂き,執筆時からどんな研究結果が追加されたかを確認し,さらにリアルタイムなEBMの実践を行って頂きたいと思うのです。

できるだけ多くの現場の臨床家に読んでもらい,「その場の1分,その日の5分」を実践してほしい。臨床医にとって日々の勉強は必須です。日々勉強をしないで,臨床医として仕事を続けることなどできません。もちろん臨床医はなかなか勉強時間をとるのが難しいほど忙しい。しかし忙しいからこそ,「その場の1分,その日の5分」で日々EBMの実践を行うことが,生涯にわたって学習し続けるためのひとつの大きな武器になるというのが,私自身の経験に基づく弱いエビデンスとしてあります。ぜひ本書を参考に,日々の継続的な勉強につなげて頂きたい。本書で少しでもそのお手伝いができれば,それに勝る喜びはありません。

€最後に, 本書の執筆にあたって武蔵国分寺公園クリニックの福士元春, 清河宏倫,五十嵐博の3氏に協力して頂いたことを付記しておきます。

€2015年1月€

武蔵国分寺公園クリニック 院長€
名郷直樹

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レビュー

【書評】「勉強してから考える」を身につける─EBM実践の指南書

松村真司(松村医院院長)
“Knowing is not enough;we must apply. Willing is not enough;we must do.”まるで中学の部活の顧問に叱られているような文言だが、ドイツの偉人、ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテが残した箴言である。わが国のEBMの先駆者、名郷直樹先生の新著を読み思い出したのが、この言葉である。
本書で著者自身が述べているように、EBMとは概念や考え方ではなく、道具である。EBMが生まれて四半世紀。もはや、EBMとは何か、を述べる前に、この便利な道具を用いて診療をすべきである。最新のガイドラインを読み、電子教科書と契約し、英語論文を読みこなすことがEBMではない。情報を吟味し、患者の価値観と専門知識とを統合し、共通の土台に立って判断を下す、そのすべてがEBMである。
とはいえ、実際の診療上の疑問に対するEBMのアプローチはなかなか経験することはできない。本書では、そんなEBMの実践が、著者らの実例を通じて明らかにされている。すべての問いに対し、「その場の1分、その日の5分」という時間内で、得られた根拠の中から何らかの答えが導き出される。結果として得られた答えは、明確なものばかりではない。時に、答えにすら至らない。しかし、その場合でも担当医の行動がどう変わったか、についての記載が必ずある。これこそがEBMの実践である。EBMとは何か、から考えがちな臨床医にとって、本書がきわめて明快なEBM実践の指南書であることは間違いない。
しかし、同じくゲーテの箴言「人生はすべて次の2つから成り立っている。したいけど、できない。できるけど、したくない」にあるように、その場の1分や、その日の5分でさえ惜しくなるのが人間である。そして、それに対する答えも本書にはある。本書で選ばれる選択肢のほとんどがそうであるように、EBMの実践とは結局「勉強してから考える」という行動を、習慣として身につける、それにつきるのである。

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勉強の仕方。

Amazonカスタマーレビュー
外科 後期研修医です。
日々忙しい外来の中で、湧いた疑問や質問されたことをどう勉強するのか。実際にエビデンスってどうなのだろうと調べたくなりました。
Dyna Medはさっそく購入しちゃいました。救急外来などで働く機会の多い初期研修医の先生も知識のブラッシュアップの仕方を得るにはいい一冊だと思います。
日常診療ツールとしてのEBM
投稿者 ぺろっぺ 投稿日 2015/5/30
日常診療に忙殺され、ついつい後回しにしがちな「足裏の米粒」のごとき疑問の数々。

分厚い成書を開いたり、何編もの論文を読通すことなく、最短距離で知りたいエビデンスにたどり着くためのテクニックが簡潔かつ軽やかに解説されている。本書に呈示されているケースの数々はまさに日頃の外来診療で「そうそう、気にはなってたんだよなあ」と思わず膝を打つものばかり。

もはやエビ固めの懸念もなく、1日たったの数分で医学知識のアップデートが可能になるという事実は多忙な臨床医にとって実にありがたい。

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