□インピンジメントサインやインピンジメントテストが陽性であれば,上腕骨大結節と烏口肩峰アーチ(肩峰,烏口肩峰靱帯,烏口突起よりなる)間での物理的な衝突に起因する滑液包炎や腱板炎が生じていると考える。
□まず保存療法を行うが,内服や注射で炎症を抑えて疼痛を軽減させてから,運動療法で物理的な要因を除去する。保存療法に抵抗する場合は,手術療法も検討する。
□インピンジメントサインは肩関節を他動させて疼痛を誘発する検査手技であり,インピンジメントが生じていなくても,炎症や拘縮があれば陽性となる。
□単純X線やMRIでの所見は,初期であれば現れない。
□感染を疑う場合は,ステロイド注射を行ってはならない。
□肩腱板筋の機能訓練など,理学療法を行う。
□ただし,短期間の頻回なステロイド注射は腱板組織を変性・損傷させるため避ける。
□単回注射が無効でやむをえず複数回施行する際は,少なくとも1カ月は間隔を空け,注射は2回までとする。
□肩腱板筋の機能訓練など,理学療法を行う。
□手術療法:3カ月以上の保存療法に抵抗する場合,肩峰下除圧術も検討するが,大結節骨折後の変形治癒などを除き,インピンジメント現象のみで手術に至ることは少なく,同時に存在する腱板不全損傷や拘縮に対する処置も併せて行う必要がある。
□鏡視下肩峰下除圧術:全身麻酔下に,関節鏡を用いて肩峰下に増生した炎症滑膜や骨棘を除去する。その後,必要に応じて腱板修復術や,拘縮した関節包切離術も行う。
□腱板損傷,変形性肩関節症,変形性肩鎖関節症,上腕二頭筋長頭炎,石灰沈着性腱板炎,拘縮肩などを合併することがあり,それぞれに対する加療も必要となる。
□高齢では腱板損傷や変形性肩関節症の合併も多くなるため,症状の改善がみられない場合には専門医への紹介も検討する。
□腱板筋自己トレーニング:両手に500mLペットボトルを持ち,90°挙上し,軽く開いた位置で両上肢上下運動。1セット20~30回,朝・夕で計2セット(図5)。
▶ 信原克哉:インピンジメント症候群. 肩 その機能と臨床. 第4版. 医学書院, 2012, p163-9.
▶ 岩田圭生:臨スポーツ医. 2013;30:427-33.
▶ Neer CS 2nd:J Bone Joint Surg Am. 1972;54(1): 41-50.
▶ Hawkins RJ, et al:Am J Sports Med. 1980;8(3): 151-8.
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