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大動脈弁狭窄症

登録日:
2017-03-16
最終更新日:
2017-07-12
桃原哲也 (榊原記念病院循環器内科部長)
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  • ■疾患メモ

    大動脈弁狭窄症(aortic valve stenosis:AS)は,リウマチ熱などによる炎症後の変化,動脈硬化や先天性弁異常などで大動脈弁の開放制限や血液通過部の狭小化が生じることが原因で起こる。特に動脈硬化が原因であることが増えつつあり,高齢社会を反映していると考えられている。

    原因と頻度:石灰化51%,先天性二尖弁36%,リウマチもしくは炎症9%。

    増加傾向にある高齢者のASの特徴

    ①動脈硬化が原因で弁が石灰化したことが成因のひとつ

    ②慢性心不全により,QOLが大きく制限される

    ③急性心不全を繰り返す

    ④集中治療室に入室する心不全の原因疾患のうち最多で,さらに疾患より院内予後不良である

    ⑤薬物治療の効果は限定的で,対症療法のみとなる

    ⑥症状出現時は,予後が不良である

    ■代表的症状・検査所見

    【症状】

    心不全としての息切れ・浮腫,狭心症症状としての胸痛,失神などの症状が出現する。

    【検査所見】

    聴診では,第二肋間胸骨右縁に駆出性収縮期雑音を聴取する。脈が触れにくく,ジャダー(振動)を感じる。これが特徴的な脈で遅脈と表現される。

    経胸壁壁心臓超音波検査(心エコー)では,開放制限がある弁が観察され,計測では弁の通過速度が上昇し,圧格差が増加する。特に動脈硬化性変化が原因の場合,弁先部またはその周辺の石灰化が観察される。経食道超音波検査(経食道エコー)では,より詳細に弁の性状や弁周辺の観察が可能である。

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