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老衰,活動性の低下,食思不振

登録日:
2017-03-16
最終更新日:
2017-07-11
荒井康之 (生きいき診療所・ゆうき院長)
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  • ■考え方

    老衰は,明確には医学的に定義づけられていない。いわゆる加齢(現在の医学では避けることが難しい変化)により細胞,組織,臓器,器官の機能が低下することを老衰と表現する。

    老衰により死に至った場合,死亡診断書の直接の死因として老衰と記載することも容認されている。

    老衰・活動性の低下・食思不振への対応は,疾病として考えるだけでなく,患者本人の人生観や家族の受け止め方など,心理社会的要因にも十分配慮して行う。

    ■状態の把握・アセスメント

    【老衰の診断の実際】

    活動性の低下・食思不振などの症状に対して,原因となりうる疾患の鑑別を行う。症状を説明する病因がない場合,老衰と診断する。

    疾患の鑑別のためには,内視鏡検査やCT,MRIなどの検査を必要とすることがあるが,それらの検査に耐えうる心身の状態にあるかを慎重に判断する。

    検査が困難な場合には,医師の臨床経験や,病歴,身体所見,尿や血液検査等の低侵襲な検査等によって老衰と判断することもある。

    【経過の把握】

    いつ頃から,どのような変化が起きているのか:活動性(意欲,ADLなど),摂食の状況(食欲,嚥下機能,食事の量),体重,認知機能,など。

    かかりつけ医として長期にわたり診療を継続していると,活動性の低下・食思不振などがきわめて緩徐に生じていることに気づきやすい。

    【全身の系統的な診察】

    バイタルサイン:意識レベル,血圧,脈拍,体温,SpO2など。

    身体診察:眼瞼結膜の貧血,舌や皮膚の乾燥,黄疸,浮腫,腹部腫瘤の触知,肺野聴診,心音聴診など。

    血液検査:アルブミン,コリンエステラーゼ,コレステロール,ヘモグロビン,赤血球,リンパ球など。

    超音波検査:腫瘍の有無,下大静脈径,心機能など。

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