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CASE07 陽性の検査結果だけに囚われず,身体所見を大切にしよう/ミエロペルオキシダーゼ抗好中球細胞質抗体(MPO-ANCA)陽性で急速進行性糸球体腎炎症候群にて入院した77歳男性[CAUTION! 臨床検査値の落とし穴]

No.4692 (2014年03月29日発行) P.28

平野景太 ( 足利赤十字病院腎臓内科部長)

登録日: 2014-03-22

最終更新日: 2017-07-31

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  • 【症例紹介】

    77歳の男性。自営で建築業をしていたが,10年ほど前に現場から引退した。既往歴,家族歴に特記すべきことはない。某年5月から両上肢のしびれを自覚し,6月には全身倦怠感が強くなった。近医で行った尿検査で沈渣赤血球50~99/HPFおよび高率な変形赤血球を認め,糸球体性血尿が疑われた。尿蛋白は1.4g/日を示した。末梢血で白血球12500/μLを認め,うち好中球は88%,好酸球は2%であった。生化学検査でCRP 17mg/dL,Cr 6.20mg/dLを指摘され当院へ紹介後,入院となった。入院時身体所見で体温は37.5℃,血圧は130/80mmHg,眼瞼結膜は貧血様,収縮期心雑音はLevine Ⅱ/Ⅵ,両下腿に浮腫,右下腿に紫斑を認めた。腹部CT検査で両側の腎臓はごく軽度の萎縮傾向であったが,水腎症など尿路系の異常所見は認められなかった。表1に示すように入院時の免疫血清学的検査においてミエロペルオキシダーゼに対する抗好中球細胞質抗体(MPO-ANCA)の陽性所見を認め,経皮的腎生検が施行された。腎生検で得られた16個の糸球体のうち,10個(63%)が球状硬化となり廃絶していた。残存する6個の糸球体の半数に半月体形成を認めたが,管内増殖は認められなかった。単核球を主体とした細胞浸潤と毛細管炎を広範な尿細管と間質領域に認めた。免疫染色はIgG,IgAや補体などいずれもほぼ陰性所見でpauci-immune型であった。以上より,MPO-ANCA関連血管炎の存在を疑った。


    検査値のどこに悩んだか

    これまで免疫抑制療法がまったく行われておらず,腎機能もかなり進行し,高度な血尿が持続している症例にもかかわらず,MPO-ANCA値は顕著な高値ではない。微熱とCRPなどの炎症所見はMPO-ANCA関連血管炎単独によるものと考えてよいか。感染症などの基礎疾患が存在する可能性も考慮すべきである。それゆえ,入院時の身体所見で認められた心雑音に対するアセスメントも必要である。

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