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一般医療機関でも行える糸状菌の発育方法は?

No.5208 (2024年02月17日発行) P.59

帆足公佑 (飯塚病院血液内科)

土戸康弘 (京都大学医学部附属病院検査部・感染制御部)

登録日: 2024-02-16

最終更新日: 2024-02-13

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  • 血液診療では侵襲性真菌症,その中でも糸状菌感染症を考慮しなければならない状況に多く遭遇します。しかし,感染臓器の検体採取ができても,多くの場合糸状菌が発育せず,経験的に治療をしなければならないことがほとんどです。耐性糸状菌が世界的に問題となっている中で微生物疫学を把握する必要性も高いと思います。
    一般市中病院の微生物検査室でも行える糸状菌をうまく発育させる方法,および菌種同定方法などについて,京都大学・土戸康弘先生にご解説をお願いします。

    【質問者】帆足公佑 飯塚病院血液内科


    【回答】

    【適切な糸状菌用培地で十分量の検体を接種し,長期間の培養を行う】

    血液疾患やその他の免疫不全患者では特に肺における侵襲性糸状菌感染症がしばしば問題となります。血液バイオマーカーであるアスペルギルスガラクトマンナン抗原やβDグルカンなどは採取が容易で有用な場面もありますが,感度に限界があります。感染臓器,すなわち本稿では肺としますが,肺組織を生検で採取し病理と培養検査に提出することが望ましいとされる一方で,侵襲の問題で実施が困難な場合も少なくありません。そこで,古典的ながらも役立つのが喀痰〔あるいは実施可能であれば気管支肺胞洗浄液(BAL)〕の塗抹・培養検査です。得られた検体は一般的なグラム染色に加えてcalcofluor whiteなどによる蛍光染色が有用です。アスペルギルスの菌体は鋭角(45°)に分岐する有隔菌糸で,ムーコルの菌体は鈍角(90°)に分岐する不整で隔壁を有さない菌糸とされますが,塗抹所見だけで菌種の確定は難しく,培養検査が必要です。糸状菌の培養検査は一般的に感度が低いとされますが,感度向上のため喀痰・BALにおいて通常よりも多くの検体量を培地に接種する高容量培養(high volume culture)の有用性が報告されています1)

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