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多発性硬化症患者の妊娠・出産時の治療について

No.4970 (2019年07月27日発行) P.46

桑原 聡 (千葉大学大学院医学研究院脳神経内科学教授)

清水優子 (東京女子医科大学脳神経内科特命担当教授)

登録日: 2019-07-30

最終更新日: 2019-07-23

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  • 多発性硬化症(multiple sclerosis:MS)に対する疾患修飾療法が次々に開発されています。女性患者における妊娠・出産時の治療について東京女子医科大学・清水優子先生にご解説をお願いします。

    【質問者】

    桑原 聡 千葉大学大学院医学研究院脳神経内科学教授


    【回答】

    【現在,疾患修飾薬5種6剤で治療を行う】

    MSは妊娠中,再発リスクは減少しますが,出産後早期は再発リスクが増加します。また妊娠・出産はMSの予後に良い影響を及ぼすことがわかりました。妊娠可能な年代のMS患者の治療で重要なのは,妊娠前の疾患活動性をコントロールし,再発を予防すること,母体・胎児へのリスク・ベネフィットを考慮し治療薬を選択することです1)

    現在わが国では,MSの疾患修飾薬(disease modifying drugs:DMD)が5種6剤〔インターフェロン(interferon:IFN)β薬,グラチラマー(GA),フィンゴリモド,フマル酸ジメチル(DMF),ナタリズマブ〕になり普及しています。したがって,DMD治療中,偶発的に妊娠する患者も少なくありません。DMDへの妊娠中曝露は,胎児に様々な程度の未知の潜在的リスクをもたらす可能性がありますので,インフォームドコンセントを十分に行い,妊娠が判明したら速やかに産婦人科医と連携をとって下さい。

    各DMDの妊娠・出産時の治療について解説したいと思います1)~3)

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