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暖かい布団に入っていると眠くなるのはなぜか?【手足の表面温度が上がって熱放散が起き,深部体温が下がるため】

No.4895 (2018年02月17日発行) P.58

宮崎総一郎 (中部大学生命健康科学研究所睡眠・認知症予防プロジェクト推進センター特任教授)

登録日: 2018-02-15

最終更新日: 2018-02-13

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こたつに長い時間入っていると,テレビを見ながらいつの間にかうたた寝していることが多いようです。入浴していても眠くなりますが,眠くなるのはなぜか考えてみると,はっきりとした答えを思いつきません。その理由について。このような睡眠は睡眠の形態として望ましいかどうかも併せてご教示下さい。

(東京都 F)


【回答】

暖かい布団や入浴後では,確かに寝つきがよくなります。睡眠アンケート1)からは,布団に入っても手足が冷たくて寝つきが悪いという人が5人に1人の割合でいます。手足が冷えているとなぜ寝つきが悪く,反対に入浴や暖かい布団ではなぜ寝つきがよくなるのでしょうか。それを理解するには睡眠と深部体温(脳や内臓,筋肉の温度)の関係を理解しておくことが必要です。

ヒトの深部体温は,夕方から夜にかけて最も高く,眠る頃になると急速に低下し,約0.4℃下がると深いノンレム睡眠に入っていくことが生理実験で確かめられています2)。暖かい布団に入ると手足がぽかぽかして,スーッと眠りに落ちていきますが,実はこの“ぽかぽか感”は深部体温が上がっているからではありません。

手足の表面温度は通常33.5℃前後ですが,入眠期において副交感神経活動が優位になると,手足の温度は約1.5℃上昇します3)。手足が暖かくなると,表面血管が拡張して血流が増加し,手足からの熱放散が起こります。解剖学的に手足は平たく表面積が広いので,体幹に比べて熱放散をするのに好都合な構造です。手足からの熱放散の結果,深部体温(脳温)が下がり,ヒトは眠りにつくのです。

ここで注意が必要です。冬にこたつで足を温めていると眠くなりますが,その後ずっと足を入れたままでは,足先が持続的に温められるために,先ほど述べた放熱作用が阻害され,結果として深部体温が低下せず,かえって眠りが浅くなり,中途覚醒の要因となります。

対処としては湯たんぽが最適です。布団や足を温めた後はゆっくりと温度が低下するので,深部体温の低下を邪魔しないからです。電気毛布の使用時も同様の注意が必要です。眠る前から布団をしっかり温めておいて,眠る際にタイマーでスイッチが切れるようにすると快眠が得られます。

【文献】

1) 佐田節子, 他:日経ヘルス. 2010年12月号, p10.

2) Kräuchi K, et al:Am J Physiol. 1994;267(3 Pt 2):R819-29.

3) 松本淳治, 他:臨脳波. 1975;17(5):301-7.

【回答者】

宮崎総一郎 中部大学生命健康科学研究所睡眠・認知症予防プロジェクト推進センター特任教授

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