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残されたのは医師国家試験の改革[炉辺閑話]

No.4889 (2018年01月06日発行) P.62

別所正美 (埼玉医科大学学長・全国医学部長病院長会議顧問(元会長))

登録日: 2018-01-04

最終更新日: 2017-12-21

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卒前の医学教育は大きく変貌した。現在進んでいる医学教育改革の流れは、臨床実習に学生が参加することの重要性を示した「医学教育の改善に関する調査研究協力者会議─最終まとめ」(昭和62年、主査:阿部正和氏)に遡ることができる。その後、診療参加型実習を行うための諸条件を検討した「臨床実習検討委員会最終報告」(平成3年、委員長:前川 正氏)を経て、「21世紀における医学・歯学教育の改善方策について」(平成13年、座長:髙久史麿氏)において具体的な方向性が示された。その道筋に沿って平成13年にはモデル・コア・カリキュラムが提示され、平成17年から共用試験が本格実施となり、各大学では診療参加型臨床実習を推進する動きが加速した。

このような医学教育改革の目的は、わが国の医学教育の質保証であり、国際的に遜色のない基本的臨床能力を医学部卒業時点で身につけた医師を育成することにある。

全国医学部長病院長会議(AJMC)では、一連の医学教育改革の流れを教育現場で実質化するため、平成25年から共用試験の合格基準を全大学で統一するとともに、共用試験を含む学内試験に合格して臨床実習に進む学生に「スチューデントドクター」の称号を授与する活動を開始した。また、医学教育の質を国際的に担保するため、医師育成に関与する諸団体の協力を得て、AJMCを中心として、日本医学教育評価機構(JACME)が設立された。

JACMEは平成29年3月に世界医学教育連盟(WFME)から国際的認証団体として認定され、全国80大学の医学教育分野別評価が順次進められている。さらに、平成32年からはAJMCと医療系大学間共用試験実施評価機構が協力して、医師になる直前の医学生の態度と技能を評価する「臨床実習終了時OSCE」が全大学で実施される予定で、既にトライアル事業が開始されている。

わが国の卒前医学教育は、先人が指し示した道筋に従って改革が進められ、外形上は概ね目標が達成されたと見なされる段階に達している。この改革を仕上げるための障害になっているのは、現行の医師国家試験制度である。その抜本的改革が待ち望まれる。

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