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無医地区の花火大会[炉辺閑話]

No.4889 (2018年01月06日発行) P.110

鈴木邦彦 (日本医師会常任理事)

登録日: 2018-01-07

最終更新日: 2017-12-21

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北富田地区は市中心部から20km以上離れた北東の端の山の中腹にあり、人口は27世帯48人、高齢化率70%、子どもはひとりだけで、無医地区かつ限界集落である。

その区長さんから「花火大会をやるので手伝ってほしい」との話があった。ひと冬に5人が亡くなり、一気に人口が1割減少して、このままでは地区が暗くなってしまうと危機感を持ったと言う。我々のグループは日頃から訪問や配食サービスなど様々な分野でご縁があったことから全面的に協力することにしたが、その約束をしたのは、理事長の私ではなく、まちづくりを目的に結成された職員有志のプロボノ組織「フロイデDAN」の団長であった。

当日はフロイデDANのメンバーと車で向かったが、実は私は同地区を訪れるのは初めてであった。市内でも山奥とされる日帰り温泉を過ぎてさらに山道を登っていくのだが、車1台がやっと通れる道幅で、しかも片側は崖であった。やがて道が二手にわかれるところに差しかかると案内の人が立っていて、狭いほうの道を登るように示した。やっと少し広い平地にたどり着くと、そこは元小学校の校庭で、今は公民館があり、数十名の方が集まっていた。

地区の方に混じって焼きそばを焼いていたのはフロイデDANのメンバーであり、家族連れも含めると、花火が始まるまでに集まった100名くらいのうち約20名は当方の職員であった。

花火大会には300名くらいが集まり大成功であったが、全員参加の北富田地区の方の熱意とともに、ボランティアとして集まった職員の数の多さに感動した1日であった。

1週間後に区長さんから丁寧な手紙を頂いた。そこには「統計上は先細りでも、幸せにおいては辺境の地ではなくしたい」と書かれてあった。地域包括ケアシステムはまちづくりと言われるが、特に地方においては、当院のような中小病院を中心としたまちづくりが有効であると考えている。かかりつけ医と医師会と中小病院が「まちづくり3点セット」と言われるように頑張りたい。

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