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Beautiful City、岩手県盛岡市[炉辺閑話]

No.4889 (2018年01月06日発行) P.106

杉山 徹 (岩手医科大学附属病院病院長、産婦人科学講座主任教授)

登録日: 2018-01-07

最終更新日: 2017-12-20

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広大な岩手県中央の内陸に位置する盛岡市は人口30万人、北東北の交通の要所です。市内中心街には北上川支流の中津川が流れ、9月末から河口である宮城県石巻から200km溯上してきた鮭の感動的な産卵が日常にみられます。震災時、瓦礫で河口が塞がれた自然の刃の中でも命を繋いだ鮭!鮭がその使命を終える頃、紅葉に彩られる盛岡の街の短い秋、釣瓶落とし、日本一を誇るマツタケの香りに酔う間もなく、内陸特有の寒い長い冬、その中で新年を迎えます。「新年、おめでとうございます」。

岩手医科大学は明治30年に、三田俊次郎による私立岩手病院、医学講習所・岩手産婆看護婦養成所設置が起源で、昭和3年に岩手医学専門学校として認可され、私立岩手病院を附属病院としました。現在、教授会や臨床部長会を開いている会議室は、当時の歴史ある1号館3階です。昨年120周年記念式典が挙行されました。劣化した建物や古い体質の遺残などありますが、標準・高度医療、医療安全等の体制は歴史とともに積み重ねられてきました。役不足ながら私は病院長として、その歴史の中で病院運営を通じて、個人的にも教授職とは違った風景の中に身をおくことができ、盛大に開催された全国医学部長病院長会議創立50周年記念式典・祝賀会にも参加できました(平成29年9月22日)。

私はこの3月で定年を迎えますが、この貴重な多角的経験から新たな夢を創造し、医師としてのプロセスの締めくくり・原点回帰を考えることができるようになりました。岩手医科大学附属病院は平成31年秋に、盛岡市に隣接する矢巾町に開院する新病院に向けて大きく羽ばたきます。診療報酬改定や消費増税という逆風、あるいは地域医療構想、新専門医制度など難しい課題もありますが、歴史に裏打ちされた北東北医療の中核を担う冠たる病院として次につなげれば、と新年に誓います。

西日本と異なる文化の町、大自然に囲まれた綺麗な盛岡市、山の幸、海の幸の宝庫でもあります。結びついた交流は強い絆になる人文化です。これから、いろいろな学会が開催されると思いますが、「是非、盛岡へおでんせ」。

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