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ポーランドの旧友を訪ねて[炉辺閑話]

No.4889 (2018年01月06日発行) P.106

岩井直躬 (明治国際医療大学学長・京都府立医科大学名誉教授)

登録日: 2018-01-07

最終更新日: 2017-12-20

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ポーランドの古都クラクフから乗った列車がワルシャワ中央駅に着き、乗降客で騒然とする駅ホームの向こうから手を振る友を見つけると、安堵感が旅の疲れを忘れさせました。私たちを出迎えてくれたのはワルシャワ小児病院のカリチンスキー教授で、私の研究室に留学して以来30年ぶりの再会でした。今や彼は、ヨーロッパでの小児外科学のトップリーダーの一人で、European Journal of Pediatric Surgeryの編集委員長として活躍しています。

駅を出ると直ぐに、彼の車で学会場がある保養地のミコライキへ向かいました。30年間の空白を埋めようと後部座席から前に乗り出して運転席の彼に話しかけていると、4時間のドライブは瞬く間に過ぎました。私はポーランド肝臓学会では招聘講演として、「胆道拡張症の病態と治療」と題して講演しました。

学会終了後、再びワルシャワに戻り、私は小児病院の見学やセミナーでの講演に、家内は緑豊かな公園で開かれるショパンのピアノ演奏会に出かけました。また、夜は2人そろって、カミンスキー教授宅での夫人手づくりの晩餐に招待されました。彼はカリチンスキー教授に引き続き私の研究室に留学し、京都滞在中には街角でモデルに、と勧誘されるほどのハンサムな青年医師でした。

30年前、わが家へ彼を招いたときに、家族と一緒に撮ったセピア色に変色した写真を見せると、ワインによる高揚感もあってか懐かしさがこみ上げ、夜がふけるまで歓談しました。

今回のポーランドへの講演旅行は、かつてお互いに将来を熱く語り合った研究仲間と再会できたことで、私たちに懐かしい日々を思い出させるセンチメンタルジャーニーとなりました。

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