株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

無筋炎性皮膚筋炎の急性間質性肺炎に対する多剤併用療法の適応とタイミング【抗MDA5抗体陽性でRP-ILD進展リスク因子を勘案し多剤併用療法実施の可否を判断】

No.4883 (2017年11月25日発行) P.55

廣村桂樹 (群馬大学医学部附属病院腎臓・リウマチ内科 診療教授)

桑名正隆 (日本医科大学付属病院リウマチ・膠原病内科教授)

登録日: 2017-11-24

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
    • 1
    • 2
  • next
  • 無筋炎性皮膚筋炎(clinically amyopathic dermatomyositis:CADM)患者の急性間質性肺炎に対して,大量ステロイド,シクロホスファミド,カルシニューリン阻害薬の多剤併用療法が用いられるようになりました。一方,CADMの標識抗体である抗MDA5抗体が保険適用となり測定する機会が増えると,肺病変のない(あるいはごく軽微な肺病変)皮膚筋炎患者で抗MDA5抗体が陽性となることがあります。多剤併用療法は,どのような患者でどのようなタイミングで行うべきでしょうか。
    日本医科大学・桑名正隆先生のご教示をお願いします。

    【質問者】

    廣村桂樹 群馬大学医学部附属病院腎臓・リウマチ内科 診療教授


    【回答】

    多発性筋炎/皮膚筋炎の中に急速進行性の経過で治療反応性不良の間質性肺疾患(interstitial lung disease:ILD)を併発する例の存在は古くから知られており,それら症例の特徴として筋症状に乏しいCADM,抗核抗体陰性などが報告されていました。2005年に佐藤らが,急速進行性ILD(rapidly progressive:RP-ILD)を伴うCADM患者の血清中に140kDaの細胞質蛋白に対する自己抗体を同定し,後に対応抗原がウイルス感染のセンサーとして機能するMDA5であることが明らかにされました。その後の検討で,抗MDA 5抗体とRP-ILDとの強い関連は人種,年齢を越えて共通で,メタ解析により同抗体のRP-ILDに対する感度が77%,特異度が86%と高いことが示されています。抗MDA5抗体の測定によりRP-ILD発症リスクの高い予後不良例を早期にとらえることが可能になり,それら症例に対して積極的治療を導入することにより生命予後の改善が期待されます。

    残り672文字あります

    会員登録頂くことで利用範囲が広がります。 » 会員登録する

    • 1
    • 2
  • next
  • 関連記事・論文

    もっと見る

    関連書籍

    もっと見る

    関連求人情報

    公立小浜温泉病院

    勤務形態: 常勤
    募集科目: 消化器内科 2名、呼吸器内科・循環器内科・腎臓内科(泌尿器科)・消化器外科 各1名
    勤務地: 長崎県雲仙市

    公立小浜温泉病院は、国より移譲を受けて、雲仙市と南島原市で組織する雲仙・南島原保健組合(一部事務組合)が開設する公設民営病院です。
    現在、指定管理者制度により医療法人社団 苑田会様へ病院の管理運営を行っていただいております。
    2020年3月に新築移転し、2021年4月に病院名を公立新小浜病院から「公立小浜温泉病院」に変更しました。
    6階建で波穏やかな橘湾の眺望を望むデイルームを配置し、夕日が橘湾に沈む様子はすばらしいロケーションとなっております。

    当病院は島原半島の二次救急医療中核病院として地域医療を支える充実した病院を目指し、BCR等手術室の整備を行いました。医療から介護までの医療設備等環境は整いました。
    2022年4月1日より脳神経外科及び一般外科医の先生に常勤医師として勤務していただくことになりました。消化器内科医、呼吸器内科医、循環器内科医及び外科部門で消化器外科医、整形外科医の先生に常勤医師として勤務していただき地域に信頼される病院を目指し歩んでいただける先生をお待ちしております。
    又、地域から強い要望がありました透析業務を2020年4月から開始いたしました。透析数25床の能力を有しています。15床から開始いたしましたが、近隣から増床の要望がありお応えしたいと考えますが、そのためには腎臓内科(泌尿器科)医の先生の勤務が必要不可欠です。お待ちいたしております。

    ●人口(島原半島二次医療圏の雲仙市、南島原市、島原市):126,764人(令和2年国勢調査)
    今後はさらに、少子高齢化に対応した訪問看護、訪問介護、訪問診療体制が求められています。又、地域の特色を生かした温泉療法(古くから湯治場として有名で、泉質は塩泉で温泉熱量は日本一)を取り入れてリハビリ療法を充実させた病院を構築していきたいと考えています。

    もっと見る

    関連物件情報

    もっと見る

    page top