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(3)今後求められる病院前脳卒中スケール[特集:外さない,見逃さない,脳卒中急性期診療─病院前脳卒中スケール(CPSS,KPSSなど)の使い方]

No.4873 (2017年09月16日発行) P.45

鈴木健太郎 (日本医科大学大学院医学研究科神経内科学分野)

木村和美 (日本医科大学大学院医学研究科神経内科学分野大学院教授)

登録日: 2017-09-15

最終更新日: 2021-01-06

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  • 脳梗塞の超急性期治療として,遺伝子組み換え組織型プラスミノーゲン活性化因子(rt-PA)静注療法と血管内治療の有効性が確立している

    血管内治療は主幹動脈閉塞例に有効である

    今後は「脳梗塞症例を判別する」のではなく,「急性期主幹動脈閉塞例を判別する」スケールが求められる。その意味で失語,半側空間無視,共同偏倚などの皮質症状の有無は臨床上重要である

    1. 脳梗塞治療の進歩

    脳卒中の中でも,近年脳梗塞の治療はめまぐるしく変化している。血行再建の手段として遺伝子組み換え組織型プラスミノーゲン活性化因子(recombinant tissue plasminogen activator:rt-PA)静注療法に引き続き,血管内治療の有用性が確立された1)2)。特に,軽症例で有用であるrt-PA静注療法と,重症例(主幹動脈閉塞例)で有用である血管内治療を組み合わせることにより,今まで以上に転帰の改善が期待できる。

    血管内治療の一番の利点は高い閉塞血管再開通率にあり,約70~80%の症例で有効再開通が得られる2)。最近の研究の統合解析では,発症から再開通までの時間短縮が,3カ月後の転帰改善に寄与することも示されている3)(図1)。良好な転帰を得るためにも,発症から再開通時間の短縮を図ることが重要である。来院後の時間短縮は,各施設が取り組んでいるところである。当院でも,コメディカルとの連携を図り,診察順序の意思統一,画像検査の短縮化,再開通療法への習熟を図ることで,来院から再開通まで1時間以上の時間短縮を達成している(図2)。しかし,来院後の時間短縮には限界があり,発症から来院までの時間短縮が大切である。


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