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日本が行っているヨルダンへの医療援助[エッセイ]

No.4871 (2017年09月02日発行) P.70

岡本洋幸 (在ヨルダン日本国大使館医務官・医学博士)

登録日: 2017-09-03

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  • ヨルダンは、中東にある国で人口約950万人、パレスチナ難民、シリア難民、イラク難民など、多数の難民を受け入れています(2015年国勢調査)。周辺をイラク、シリア、パレスチナ自治区、イスラエル、サウジアラビアに囲まれています。小官は、このヨルダンにある在ヨルダン日本国大使館の医務官として勤務しています。館員・家族の健康管理に加えて、在留邦人の健康相談や医療情報収集などを行っています。

    支援

    日本は、多くのシリア難民を受け入れるなど、中東の安定にとって重要な役割を果たしているヨルダンに対し、これまで多くの支援を実施してきました。本稿では最近の医療分野における支援について述べます。

    支援には大きくわけると、二国間支援と人道上の観点からの国際機関等を通じた支援があります。

    二国間協力による医療分野での支援については、2015年3月に日本の優れた医療・保健器材をヨルダンの公立病院等に整備することを目的とした医療器材ノン・プロジェクト無償資金協力(10億円)に関する書簡の交換が行われました。CTやX線器材などが供与され、ヨルダンの医療関係者からは、日本に対する賛辞を聞きました。

    国際機関等を通じた支援については2016年、ヨルダンで活動する国際機関およびNGOに対して約6500万ドルを供与し、難民問題対策を含む人道支援、社会安定化支援およびテロ対策支援を実施しました。国際機関を通じた支援には、医療サービスの提供、ヨルダン政府に対する医療器材の提供等、医療分野での支援が多数含まれています。日本の支援によって、シリア難民キャンプや難民受け入れコミュニティーにおいて無償で医療サービスが提供されたほか、シリア難民児童に対して予防接種が実施されました(写真)。また、シリア難民の間で食生活等に起因する生活習慣病が蔓延していることもあり、生活習慣病の予防を目的とした啓蒙活動も実施されました。


    以上の開発協力以外にも、医務官として現地の医学部で講演を行ったり、日本の医師をヨルダン人医師に紹介することなどを通じて、ヨルダンの医療に貢献しています。

    残り550文字あります

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