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(3)閉塞性動脈硬化症の治療─薬物治療,血管内治療,外科治療[特集:閉塞性動脈硬化症を疑って診る]

No.4868 (2017年08月12日発行) P.39

児玉章朗 (名古屋大学大学院医学系研究科血管外科講師)

古森公浩 (名古屋大学大学院医学系研究科血管外科教授)

登録日: 2017-08-11

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  • 閉塞性動脈硬化症(ASO)では,臨床症状(無症候,跛行肢,安静時痛,潰瘍・壊疽)により治療のエンドポイントおよび治療法が大きく異なる

    血管内治療と外科的バイパス術の選択では,虚血責任血管ごとに侵襲度や開存性を鑑みて選択する

    1. 治療総論

    閉塞性動脈硬化症(arteriosclerosis obliterans:ASO)の診断・治療に関し基礎となるものとして,欧米諸国やわが国などの16学会が中心となり2007年に報告されたTASC(Trans-Atlantic Inter-Society Consensus)Ⅱ guidelineが挙げられる1)2)。その後,欧州,米国の循環器学会,血管外科学会を中心にそれぞれガイドラインの改訂がなされ,15年にはわが国でも日本循環器学会ガイドラインが改訂されている3)4)。本稿ではこれらに基づき,筆者らが行っているASO治療について述べる。

    ASOでは患肢予後および生命予後の改善が目標となるが,治療にあたってはまず臨床症状を把握することが肝要である。臨床症状〔無症候,跛行肢,重症下肢虚血(critical limb ischemia:CLI)〕によって治療目標が大きく異なってくるからである。後述するように,血行再建はASOに対する治療として必ずしも必須となるわけではない。もし血管内治療や外科的手術といった血行再建を行う場合は,治療のエンドポイントおよび病変血管の解剖学的特徴によって治療法を考えることとなる。これには超音波検査,CT等の様々なモダリティの活用が必要となる。

    2. 無症候性閉塞性動脈硬化症(ASO)に対する治療

    診断は別稿に譲るが,治療の対象は具体的には足関節上腕血圧比(ankle brachial index:ABI)が0.90未満,あるいは画像所見で下肢動脈閉塞性病変を呈しながら虚血症状のない患者である。無症候性ASO患者の患肢予後は良好であるにもかかわらず生命予後は健常人よりも不良であることから,下肢予後よりも生命予後への留意が必要となる。したがって,治療としては生活習慣の改善を含めた動脈硬化性疾患の予防および進行抑制,心血管イベント発症抑制が中心となり,予防的な血行再建の適応はない。

    3. 跛行肢に対する治療

    跛行肢に対する治療のエンドポイントは,最大歩行距離の改善である1)。したがって,呼吸循環器疾患,運動器疾患(整形外科的疾患,神経内科的疾患等)を有する場合,一般に血行再建の適応とはならない。

    跛行患者を5年間追跡した場合,下肢症状が悪化する患者は25%,重症虚血化する患者は数%程度と,患肢予後に関しては比較的良好である4)。したがって,治療の基本は動脈硬化リスクファクターの管理が中心となる。心血管イベント予防を目的として,アスピリンまたはクロピドグレルを投与する。また,歩行機能の改善にはまず運動療法,薬物療法を行う。運動療法は監視下運動療法が推奨される。トレッドミルを使用し,30分程度の運動を週3回行う。しかし,わが国では運動療法を厳格に指導できる施設も少なく,薬物併用在宅運動療法を行うこととなる。跛行距離の改善に最もエビデンスを持つのは,シロスタゾールである。頭痛,頻脈といった副作用出現の恐れもあり,わが国ではうっ血性心不全患者には禁忌となっている。上記治療を3~6カ月行っても症状の改善がなく患者の希望が強い場合,リスクとベネフィットを鑑みて血行再建の適応を決めることとなるが,ある程度長期開存の見込みも必要となる。

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