株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

身体に触れる診療をめざして[プラタナス]

No.4860 (2017年06月17日発行) P.3

井須豊彦 (釧路労災病院脳神経外科部長/末梢神経外科センター長)

登録日: 2017-06-16

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
    • 1
    • 2
  • next
  • 私は脊髄外科を専門としている脳神経外科医である。最近、最先端医療では解決できない病態があるのではないかと思うようになった。約6年前に、腰を曲げ、辛そうにして診察室に入ってきた60歳代の女性を診察する機会があった。他の病院で腰椎手術を施行されたが、腰痛は改善せず徐々に悪化し、立ち上がりや寝返りが困難で歩行は数メートルしかできなくなった。担当医は、手術は完ぺきで痛くなるはずはないと説明するばかりで、心が病んでいると診断され、精神科を紹介された、と涙ながらに訴えていた。腰椎XP(写真左:正面像。L3/4、L4/5にて腰椎後側方固定術が施行されている)、MRI、CTには異常所見はみられず、腰痛の原因は腰椎病変によるものとは思われなかった。うつ伏せになってもらい、後正中より約7cmの腸骨稜付近を押してみたところ、激痛がみられ腰を反らせた(写真右)。上殿皮神経障害による腰痛と診断し、圧痛部位にブロック注射を行ったところ、あれほど辛かった腰痛は劇的に消失し、患者さんは涙を流して喜んだ。

    残り562文字あります

    会員登録頂くことで利用範囲が広がります。 » 会員登録する

    • 1
    • 2
  • next
  • 関連記事・論文

    もっと見る

    関連書籍

    関連求人情報

    もっと見る

    関連物件情報

    もっと見る

    page top