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私と腹部単純X線[プラタナス]

No.4858 (2017年06月03日発行) P.3

西野徳之 (総合南東北病院消化器センター長)

登録日: 2017-06-02

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  • 「便秘と腹痛」を訴える患者に、当直医は浣腸の指示と下剤を処方した。症状は改善せず2日後に僕の外来を受診した。腹部単純X線(腹部X線)を撮影すると上行結腸が著明に拡張している(写真)が、肝弯曲を境に肛門側には便が見られない。X線不透過の部分には閉塞をきたすような病変(腫瘍)があるのではないかと考え引き続きCTを撮影すると、思ったとおり腫瘍が存在し、上行結腸は破裂寸前に拡張していた。加えて小腸も拡張してfluid filled ileusを呈していた。肝弯曲部の進行結腸癌と診断し、外科に緊急手術を依頼した。

    この症例は腹部X線の持つpotentialに気づかされるきっかけとなった。そもそも卒後4年目に利尻島へ赴任し、先輩から「CTを撮る前に単純写真をきちんと読影し、撮影の適応を考えよ」と言われ、腹部X線は必ず撮影するようにしていた。しかし、やみくもに数をこなしても読影力は上がらない。正常な症例が多いからだ。そこで、病態と診断がわかっている症例でCTのscanogram(scout画像)を疑似腹部X線として読影し、診断能力の向上を図った。

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