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高齢者福祉施設での看取りを増やすために解決するべき問題 【施設および看護部管理者の意識改革,夜間体制の整備,スタッフのストレス緩和】

No.4838 (2017年01月14日発行) P.55

森本有里 (森本医院院長)

関本雅子 (関本クリニック院長)

登録日: 2017-01-11

最終更新日: 2017-01-10

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  • 2025年問題については耳にタコができるような感がありますが,高齢者人口は増えているにもかかわらず病院の数は増えておらず,しかも在宅での看取りはこの10年間で横ばいという現状を鑑みますと,死を迎える場所として高齢者福祉施設を選ばざるをえなくなると思います。2025年に困らないためには,今から高齢者福祉施設で看取りをスムーズに行うための体制作りが必要です。そこで,高齢者福祉施設での看取りを増やすためには何を改善していけばよいのかを,関本クリニック・関本雅子先生にご教示頂きたいと思います。

    【質問者】

    森本有里 森本医院院長


    【回答】

    わが国は既に超高齢社会に突入しており,厚生労働省も今後「施設を含めた在宅看取り」を推進しています。ただ,わが国の在宅看取り率は,欧米に比べて低い状態が続いており,特に高齢者施設での看取り率は,海外の20~30%に比べて3.5%と低い状態です。

    一昨年,神戸市医師会で施設看取りに関連したアンケート調査をしましたところ,予想通り,施設間格差が非常に大きいことが明らかになりました。夜間看護師不在の施設も多く,そのような施設では,夜間の吸引および坐薬挿入ができない施設も多数みられました。また,夜間の麻薬の頓服介助に関しては,アンケートに答えて頂けた314施設の中で7%だけが可能でした。

    質の高い施設看取りを増やすために,以下のような点を挙げてみました。

    (1)施設管理者,看護部管理者の意識変革および「終末期と看取り」研修会開催
    過去に18施設で看取りを経験しましたが,上記管理者のいずれかが看取りに消極的な場合は,スタッフとの連携もうまく取れず,医療・看護すべて外付けでの対応になりました。このような施設では,入居者の「これまでの生きざま」「今の時点での希望」などに対する関心が薄く,ご家族とのコミュニケーションもうまくいかない例が多々ありました。看取りに関してのチームがうまく動けなかった施設に対しては,出前トークの「終末期と看取り」に関する研修会を提案しており,改善がみられた施設もあります。

    残り467文字あります

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