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内分泌療法耐性乳癌に対する治療方針 【最近,フルベストラント,エベロリムス/エキセメスタン併用療法が承認され,さらにPI3K阻害薬やCDK4/6阻害薬などが開発中】

No.4800 (2016年04月23日発行) P.51

岩瀬弘敬 (熊本大学乳腺・内分泌外科教授)

登録日: 2016-04-23

最終更新日: 2016-10-26

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乳癌組織内にエストロゲン受容体(ER)を発現している乳癌は,基本的にエストロゲンに依存して増殖する。したがって,ER陽性乳癌の内分泌療法は乳腺組織内のエストロゲンを減少させること,あるいはERに作用してエストロゲン機能を低下させることである。本療法の副作用は弱く,効果が長期間持続するが,いずれは耐性をきたすことが問題である。
内分泌療法に耐性をきたした際には,作用機序の異なる内分泌療法薬に切り替えることが一般的であるが,転移巣が重要臓器であるときや病巣が急速に増大をきたしているときには,次治療として内分泌療法薬単剤では効果が十分でないと予想できる。このような状態では,エストロゲン増殖経路だけではなく,細胞内シグナル伝達系(PI3K-mTOR系あるいはMEK-MAPK系)の作用が亢進している。
最近では,新しい機序を持つER機能抑制薬であるフルベストラントが承認された。また,ER陽性閉経後転移再発乳癌において,mTOR阻害薬であるエベロリムスとステロイド性のアロマターゼ阻害薬であるエキセメスタンの併用療法も承認された。現在,PI3K阻害薬や細胞周期を調節するCDK4/6阻害薬などが開発中であり,有望である。
一方で,乳癌治療の現場では,これら多くの治療法の中から至適な薬剤を選択し,適切な時期に使用することは難しいことであると想像できる。臨床試験での検討も重要であるが,薬剤の開発と並行して有用な効果予測因子のマーカーの開発が急務である。

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