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遺伝性乳癌卵巣癌症候群における乳癌・卵巣癌の発症予防

No.5019 (2020年07月04日発行) P.49

山下啓子  (北海道大学乳腺外科教授)

登録日: 2020-07-05

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 【リスク低減乳房切除術(BRRM),リスク低減卵管卵巣摘出術(RRSO)が推奨される】

BRCA1あるいはBRCA2遺伝子の生殖細胞変異〔遺伝性乳癌卵巣癌症候群(hereditary breast and ovarian cancer:HBOC)〕を有する女性の70歳までの乳癌発症リスクは49~57%,卵巣癌発症リスクは18~40%と高率である1)。「乳癌診療ガイドライン 2疫学・診断編 2018年版」では,HBOCの女性の乳癌・卵巣癌発症予防として,リスク低減乳房切除術(BRRM)とリスク低減卵管卵巣摘出術(RRSO)を下記のごとく推奨している2)

(1)BRRM

①乳癌未発症者の場合:生存率の改善傾向が示されていること,乳癌発症リスクの低減効果が明らかであること,乳癌発症の不安軽減の報告もみられることから,本人の意思に基づき実施することを弱く推奨する。

②乳癌既発症者の場合:乳癌発症リスク低減効果,全生存率改善効果が認められていることから,本人の意思に基づき遺伝カウンセリング体制などの環境が整備されている条件下での実施を強く推奨する。

(2)挙児希望のない女性のRRSO

RRSOの実施を強く推奨する(卵巣卵管癌発症リスク低減効果,全生存率改善効果,がんへの不安軽減効果,医療コストでの便益が大きい)。

【文献】

1) Chen S, et al:J Clin Oncol. 2007;25(11):1329-33.

2) 日本乳癌学会, 編:乳癌診療ガイドライン 2疫学・診断編2018年版. 金原出版, 2018.

【解説】

山下啓子 北海道大学乳腺外科教授

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