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がん研有明病院 乳房一次再建術 根治的,整容的な乳癌治療をめざして

「乳房一次再建術」解説書の決定版

定価:13,500円
(本体12,500円+税)

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編著: 澤泉雅之(がん研究会有明病院 形成外科 部長)
判型: A4判
頁数: 296頁
装丁: カラー
発行日: 2015年12月15日
ISBN: 978-4-7849-6231-0
版数: 第1版
付録: -

2013年7月,乳癌手術後の乳房再建に使用するゲル充填人工乳房(SBI)が保険適用となり,乳癌治療に新たな道が拓かれました。本書では1,000件を超す症例数で国内を大きくリードするがん研有明病院の方法論を惜しげも無く開陳。乳切と同時にティッシュ・エキスパンダー(TE)を挿入し,組織の伸展やその他の治療の終了を待ってSBIと入れ替える一次二期再建術を中心に同院のワザを紹介します。乳腺外科医との連携,TE・SBIの取り扱いと挿入手技,術後合併症,術後評価・経過観察,対側のタッチアップ,乳頭・乳輪の再建,術前術後の患者ケアなどを詳説する,根治的・整容的な「乳房一次再建術」解説書の決定版です。

目次

第1章 総論
1.乳腺外科医と一次再建
2.乳房再建一般
3.周術期管理とインフォームドコンセント
第2章 人工乳房の基礎
column TE挿入中のMRI禁忌:人体への影響
第3章 ティッシュ・エキスパンダー
1.サイズ選択
2.挿入法
column アロダーム®とバイクリル®メッシュ
3.術後の合併症
第4章 インプラント
1.総論
2.SBIの選択
3.サイズ選択の際のエコーによる計測の有用性
4.挿入法
5.術後の合併症
第5章 両側再建
第6章 評価・経過観察
1.ベクトラ®の活用
2.乳房再建後の整容性評価方法
第7章 対側のタッチアップ
1.総論
2.対側乳房増大術
3.対側乳房固定術
第8章 脂肪注入による修正術
第9章 乳頭・乳輪再建
第10章 チーム医療と患者ケア
第11章 インプラントの破損と画像診断

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序文


がん研有明病院が形成外科を設立し,乳房再建を開始してから今年で10年が経ちます。設立に先立ち,同院乳腺センターの岩瀬拓士部長から,乳癌の標準手術となっていた温存療法だけでは限界があり,乳房一次再建を日本にも根付かせたい,とのお誘いを受けました。それは,より根治的で整容的な乳癌治療をめざすこと,乳房を取り戻してこそ外科治療は終焉すること,そのためには形成外科を含むすべての再建手術を院内で完結すること。今でも“桃園の誓い”のように思い出されます。

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当時,米国では温存療法と乳線切除の比率が再逆転を起こしはじめ,EUではコヒーシブ・シリコーンが認可を受けていた状況です。私は経験を持つ諸先輩のアドバイスを参考に,アラガン社のティッシュ・エキスパンダー(TE)とゲル人工充?乳房(SBI)を用いた自費診療として乳房再建を開始しました。

€

一次再建を始めて気づいたのは,乳腺切除と乳房再建が一対の治療であり,補助療法や放射線療法などと包括的に進められ,まさにチーム医療の中での立ち位置を見きわめた治療であること,また,サバイバーシップの中で長期に経過観察しながら対応していかなければならず,欠損を補?し機能を修復することを目的に他科が行う再建とは一線を画すものである,ということです。

€

2013年7月,悲願であったSBIの保険適用が実現し,乳房再建への期待が高まっています。かつて“乳房再建発展途上国”と言われていたわが国でも,乳房再建専用のSBIを保険で取り扱うことができるようになり,患者さんにも大きな変化が生まれました。それは,喪失感を感じてから前向きに検討して受診する二次再建希望の患者さんの思いと,乳癌手術で乳房を失いたくないという一次再建希望の患者さんの思いとの大きな隔たりです。乳癌手術は癌に対する治療の受け入れとともに,女性として大切な乳房にメスを入れるという二重の苦しみです。一次再建で安心して低侵襲に乳房を残せるとしたら,診断時から整容に対する苦悩は軽減し,癌治療に専念できる環境が整います。「乳切になるなら,再建を希望します」という一次再建の希望者が増え,一定期間内に再建を含めた癌治療を低侵襲で終了させるために,多少の妥協はあってもSBIでの治療を選択するという方向へ大きく舵を切ったように思えます。

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しかし,一見単純にも思える人工乳房の手術手技も,三次局面で構成された乳房を対側に合わせて形成するのは熟達した技量が必要であり,基本的な知識と技術の上にこそ実のある収穫は得られます。日本乳房オンコプラスティックサージャリー学会の設立理念にも,乳腺外科と形成外科の協同が謳われており,良きパートナーシップこそが乳房一次再建術を発展させる要です。

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本書では,がん研有明病院で行っている乳房一次再建術のこれまでの経験を広く知って頂くことと,特に注目を集めているSBIの取り扱いに焦点をあて執筆しています。本分野に興味を持つ先生方の参考となり,今後の乳房一次再建術の導入と発展につながれば幸いです。

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2015年11月
€公益財団法人がん研究会有明病院形成外科 部長 澤泉雅之

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