株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

胃食道逆流症(GERD)による慢性咳嗽 【近年増加しているGERDによる慢性咳嗽は,咳喘息や副鼻腔気管支症候群などに高率に合併】

No.4798 (2016年04月09日発行) P.52

新実彰男 (名古屋市立大学呼吸器・免疫アレルギー内科 教授)

登録日: 2016-04-09

最終更新日: 2016-10-26

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

Montreal definitionにおける胃食道逆流症(GERD)の食道外症候群には,呼吸器疾患(症状)として,「明確な関連あり」の項目に咳嗽と喘息,「関連の可能性あり」の項目に特発性肺線維症が挙がっている。近年は慢性閉塞性肺疾患(COPD)への関与も報告されており,GERDの呼吸器への関わりは大きい(文献1)。中でも,8週間以上持続し胸部写真や身体所見の異常を示さない慢性咳嗽の原因として,GERDはかつてはわが国では稀とされたが近年増加している(文献2,3)。

GERDが咳を惹起し,また咳がGERDを惹起して悪循環を形成するため,咳喘息(咳のみが症状の喘息),副鼻腔気管支症候群(蓄膿症に合併する気管支炎)など,慢性咳嗽のその他の原因疾患に高率に合併する。胸やけなどの食道症状や,起床時・食事中・就寝直後の咳の悪化,昼間優位の咳,咽喉頭症状の合併などの特徴的な病歴から疑い,薬剤による治療(プロトンポンプ阻害薬,消化管運動機能改善薬)や食事療法,肥満の回避などの生活指導を考慮する(文献2,3)。他疾患合併例では,両者を強力に治療しないとしばしば軽快しない。

慢性咳嗽の診療において,GERDは常に念頭に置く必要がある疾患である。

【文献】
1) Vakil N, et al:Am J Gastroenterol. 2006;101(8):1900-20.
2) 日本呼吸器学会咳嗽に関するガイドライン第2版作成委員会, 編:咳嗽に関するガイドライン. 第2版. メディカルレビュー社, 2012.
3) 新実彰男:アレルギー. 2013;62(8):950-4.

関連記事・論文

もっと見る

関連書籍

もっと見る

関連求人情報

公立小浜温泉病院

勤務形態: 常勤
募集科目: 消化器内科 2名、呼吸器内科・循環器内科・腎臓内科(泌尿器科)・消化器外科 各1名
勤務地: 長崎県雲仙市

公立小浜温泉病院は、国より移譲を受けて、雲仙市と南島原市で組織する雲仙・南島原保健組合(一部事務組合)が開設する公設民営病院です。
現在、指定管理者制度により医療法人社団 苑田会様へ病院の管理運営を行っていただいております。
2020年3月に新築移転し、2021年4月に病院名を公立新小浜病院から「公立小浜温泉病院」に変更しました。
6階建で波穏やかな橘湾の眺望を望むデイルームを配置し、夕日が橘湾に沈む様子はすばらしいロケーションとなっております。

当病院は島原半島の二次救急医療中核病院として地域医療を支える充実した病院を目指し、BCR等手術室の整備を行いました。医療から介護までの医療設備等環境は整いました。
2022年4月1日より脳神経外科及び一般外科医の先生に常勤医師として勤務していただくことになりました。消化器内科医、呼吸器内科医、循環器内科医及び外科部門で消化器外科医、整形外科医の先生に常勤医師として勤務していただき地域に信頼される病院を目指し歩んでいただける先生をお待ちしております。
又、地域から強い要望がありました透析業務を2020年4月から開始いたしました。透析数25床の能力を有しています。15床から開始いたしましたが、近隣から増床の要望がありお応えしたいと考えますが、そのためには腎臓内科(泌尿器科)医の先生の勤務が必要不可欠です。お待ちいたしております。

●人口(島原半島二次医療圏の雲仙市、南島原市、島原市):126,764人(令和2年国勢調査)
今後はさらに、少子高齢化に対応した訪問看護、訪問介護、訪問診療体制が求められています。又、地域の特色を生かした温泉療法(古くから湯治場として有名で、泉質は塩泉で温泉熱量は日本一)を取り入れてリハビリ療法を充実させた病院を構築していきたいと考えています。

もっと見る

関連物件情報

もっと見る

page top