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ループス腎炎に対するミコフェノール酸モフェチル

No.4760 (2015年07月18日発行) P.56

岡本奈美 (大阪医科大学小児科)

玉井 浩 (大阪医科大学小児科教授)

登録日: 2015-07-18

最終更新日: 2016-10-26

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全身性エリテマトーデス(SLE)は寛解と再燃を繰り返し,慢性の経過をたどる難病のひとつであり,小児の有病率は10万人当たり3.9~4.7と成人と大差なく,SLE全体の15~17%を占める。近年,治療の進歩により,小児においても生命予後は格段に改善した(累積10年生存率98%)が,各臓器障害の有無により異なる。
ループス腎炎は初診時約50%に認め,うち30%が腎不全に進行する。小児ループス腎炎の約30%が腎機能予後の悪いISN/RPS分類classⅣ型(びまん性ループス腎炎)であり,長期寛解が得られなければ生存率も低くなる。
従来,ループス腎炎の治療にはステロイドに加え,アザチオプリン,ミゾリビン,タクロリムス,シクロホスファミド(保険適用なし)などの免疫抑制剤が用いられてきた。海外では2012年,米国リウマチ学会(ACR)および欧州リウマチ学会/欧州腎臓学会/欧州透析移植学会合同(EULAR/ERA-EDTA)が発表した治療ガイドラインで,安全性・有効性の面から,活動性ループス腎炎の寛解導入および維持療法にミコフェノール酸モフェチル(MMF)が第一選択となった。
MMFはプリン合成系を阻害することにより,リンパ球の増殖を選択的に抑制する。現在は移植時の拒絶反応抑制のみに承認されているが,国内でもループス腎炎に対する使用の要望が高まっている。その現状から「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」の要請を受け,日本リウマチ学会/日本腎臓学会/日本小児リウマチ学会/日本小児腎臓病学会からのステートメントが発表された(HP上で公開)。

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