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カンジダ血症の治療

No.4733 (2015年01月10日発行) P.48

宮崎泰可 (長崎大学第二内科講師)

河野 茂 (長崎大学第二内科教授)

登録日: 2015-01-10

最終更新日: 2016-10-26

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侵襲性カンジダ症の疫学・診断・治療に関する新たなエビデンスの蓄積を受けて,最近,日本医真菌学会(文献1)と真菌症フォーラム(文献2)から,本症に関する診療ガイドラインが発行された。両ガイドラインとも推奨内容に大きな違いはないが,前者は侵襲性カンジダ症に特化し,後者は深在性真菌症を広く網羅した診療科別の記載形式となっている。
カンジダ血症は,治療開始が遅れると致死率が高くなることが知られており,初期診療が重要である。まず,抗真菌薬を投与する前に血液培養を2セット採取し,それぞれ好気・嫌気培養を行う。すべてのカンジダ血症患者において,血管内カテーテルは可能な限り早期に抜去することが望ましい。抜去不能例では,アムホテリシンBリポソーム製剤(L-AMB)あるいはキャンディン系薬が推奨される。
カンジダ血症の治療では,キャンディン系薬が主軸に据えられている。L-AMBはキャンディン系薬と同等の有効性が期待できるが,副作用の問題から第一選択としての使用は制限される。ただし,重症例や難治例では有用な選択肢となる。アゾール系薬は,患者の状態と病態,原因菌種に応じた使いわけが必要であり,より専門的な知識が要求されるが,step-down治療における経口薬の役割は大きい。眼病変や心内膜炎など感染転移巣の有無は,治療薬の選択や治療期間にも影響するため,注意が必要である。

【文献】


1) 日本医真菌学会:侵襲性カンジダ症の診断・治療ガイドライン2013. 2013.
2) 深在性真菌症のガイドライン作成委員会, 編:深在性真菌症の診断・治療ガイドライン2014. 真菌症フォーラム, 協和企画, 2014.

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