株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

【文献 pick up】超高齢者へのDOACはフレイルの有無を問わず有用?―JACC Adv誌

宇津貴史 (医学レポーター)

登録日: 2023-10-12

最終更新日: 2023-10-12

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

80歳以上でも直接経口抗凝固薬(DOAC)を添付文書準拠用量で服用していれば、フレイルがあっても有効性・安全性は非フレイル例と差はないようだ。イタリア・パドバ大学のGentian Denas氏らが10月2日、JACC Advances誌で報告した。

これまでの観察研究からは、フレイル例に対する経口抗凝固薬(OAC)処方回避傾向や、フレイル例における低いOAC服用率が報告されている。

【対象】

今回解析対象となったのはイタリア在住で80歳以上の、(1)心房細動(AF)と新規診断され、または(2OAC適応のある機械弁置換を受け、承認用量のDOACを服用していた176例である。不適切低用量服用例は除外されている。

平均年齢は85歳、57%が女性だった。

【方法】

これら176例をSHARE-FIスコアを用いて「フレイル」「プレ・フレイル」「非フレイル」の3群に分け、「脳卒中/全身性塞栓症・大出血・要対応非大出血・死亡」の発生率とリスクを比較した。

【結果】

・フレイルの割合

全体の32.9%が「フレイル」、19.8%が「プレ・フレイル」、47.2%が「非フレイル」だった。

CHA2DS2-VAScスコア平均値は順に、4.84.34.1となった。

・重篤イベント

1.5年間(259人年)の観察期間中、49例が「脳卒中/全身性塞栓症・大出血・要対応非大出血・死亡」をきたした。

これらイベント発生率は「フレイル」群(18%)、「プレ・フレイル」群(10%)、「非フレイル」群(21%)で、群間に有意な差を認めなかった。

また「非フレイル/プレ・フレイル」群と比べた「フレイル」群における発生率比(IRR)も1.295%信頼区間[CI]:0.6-2.2)で有意差を認めなかった。

「大出血」「要対応非大出血」も同様に、「フレイル」群におけるIRRは「非フレイル/プレ・フレイル」と有意差はなかった。「脳卒中/全身性塞栓症」も同様である。

ただし「死亡」IRRは「フレイル」群で4.695%CI1.3-20.3)の有意高値だった(発生率は「フレイル」群:15.5%、「プレ・フレイル」群:8.6%、「非フレイル」群:1.2%)。

なお死亡した13例中、心血管系疾患死は2例のみ。8例は呼吸器疾患、3例は悪性腫瘍による死亡だった。

本試験はDaiichi Sankyo Italyから資金提供を受けた。

関連記事・論文

もっと見る

関連書籍

もっと見る

関連求人情報

公立小浜温泉病院

勤務形態: 常勤
募集科目: 消化器内科 2名、呼吸器内科・循環器内科・腎臓内科(泌尿器科)・消化器外科 各1名
勤務地: 長崎県雲仙市

公立小浜温泉病院は、国より移譲を受けて、雲仙市と南島原市で組織する雲仙・南島原保健組合(一部事務組合)が開設する公設民営病院です。
現在、指定管理者制度により医療法人社団 苑田会様へ病院の管理運営を行っていただいております。
2020年3月に新築移転し、2021年4月に病院名を公立新小浜病院から「公立小浜温泉病院」に変更しました。
6階建で波穏やかな橘湾の眺望を望むデイルームを配置し、夕日が橘湾に沈む様子はすばらしいロケーションとなっております。

当病院は島原半島の二次救急医療中核病院として地域医療を支える充実した病院を目指し、BCR等手術室の整備を行いました。医療から介護までの医療設備等環境は整いました。
2022年4月1日より脳神経外科及び一般外科医の先生に常勤医師として勤務していただくことになりました。消化器内科医、呼吸器内科医、循環器内科医及び外科部門で消化器外科医、整形外科医の先生に常勤医師として勤務していただき地域に信頼される病院を目指し歩んでいただける先生をお待ちしております。
又、地域から強い要望がありました透析業務を2020年4月から開始いたしました。透析数25床の能力を有しています。15床から開始いたしましたが、近隣から増床の要望がありお応えしたいと考えますが、そのためには腎臓内科(泌尿器科)医の先生の勤務が必要不可欠です。お待ちいたしております。

●人口(島原半島二次医療圏の雲仙市、南島原市、島原市):126,764人(令和2年国勢調査)
今後はさらに、少子高齢化に対応した訪問看護、訪問介護、訪問診療体制が求められています。又、地域の特色を生かした温泉療法(古くから湯治場として有名で、泉質は塩泉で温泉熱量は日本一)を取り入れてリハビリ療法を充実させた病院を構築していきたいと考えています。

もっと見る

関連物件情報

もっと見る

page top