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冠動脈プラークに対する非侵襲的画像診断の進歩

No.4717 (2014年09月20日発行) P.54

藤本進一郎 (順天堂大学循環器内科准教授)

代田浩之 (順天堂大学循環器内科教授)

登録日: 2014-09-20

最終更新日: 2016-10-26

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急性冠症候群の前駆病変である不安定プラークを非侵襲的に同定し発症を予防することは重要な課題の1つだが,現在確立された方法はない。冠動脈CTにおいてポジティブリモデリング,低CT値領域を有するプラークの存在は,高率に急性冠症候群を発症し,冠動脈イベントの有意な独立した予測因子であることが,わが国を中心に報告されている(文献1)。冠動脈CTは現在最も期待されるモダリティーだが,客観性や定量性に問題があり,ガイドラインとして確立するには至っていない。近年,MRIの非造影T1強調画像で冠動脈プラークにおける高信号の存在が,将来の冠動脈イベントの予測因子になることが報告された(文献2)。非造影MRIは造影剤の使用や被ばくの問題がないため,無症候性の患者のスクリーニングに有用となる可能性がある。また,PET製剤18F-FDGがマクロファージによる炎症活性の高い部位に集積することを利用して,冠動脈の不安定プラークを同定することも試みられている(文献3)。さらに,この心筋集積の問題を解決すべく,18F-NaFによる報告もされている(文献4)。これらは臨床使用可能な分子イメージングとして注目されている。どちらのモダリティーとも確立するにはまだ問題点があるが,今後の臨床応用が期待される。

【文献】


1) Motoyama S, et al:J Am Coll Cardiol. 2009;54 (1):49-57.
2) Noguchi T, et al:J Am Coll Cardiol. 2014;63 (10):989-99.
3) Rogers IS, et al:JACC Cardiovasc Imaging. 2010; 3(4):388-97.
4) Joshi NV, et al:Lancet. 2014;383(9918):705-13.

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